専門書を扱う場合は、本に関する深い知識が必要である
ターゲット層や売り上げの傾向を分析して選書し、売れ残らないようにする
開業のステップ
ここでは、実店舗を持つ例を紹介する。開業ステップは、以下の通り。
以前は大手取次と契約しなければ書店開業は難しかったが、現在では安価で取引してくれる取次や、直接取引してくれる出版社が登場しているため、問い合わせてみると良い。
仕入れ方法には次の2種類がある。あわせて確認してみよう。
委託販売制:本が売れ残った場合、返品が可能
買い切り制:返品はできないが、仕入れ値が委託販売制よりも安いケースが多い
書店に役立つ資格や許可
新刊書のみ販売する場合は、必要な許可は特にない。新刊書だけではなく古本も扱うのであれば、古物商の許可が必須となる。
古物商許可(古本を販売する場合必須)
店舗所在地を管轄する警察署で手続きを行う。古物商許可申請書に必要書類を添えて、申請手数料19,000円とともに提出する。さらに、インターネットで古本を販売する場合には、店のURLを届け出る必要がある(URLの使用権限を疎明する資料も必要)。詳しくは、警視庁のサイトを確認すると良い。申請してから許可交付まで1カ月以上かかることがあるため、スケジュールには注意したい。
また、カフェを併設する場合には、以下の資格や許可が必要となる。
食品衛生責任者(カフェ併設の場合必須)
飲食を提供する場合、食品衛生責任者を各店舗に1名以上配置することが義務付けられている。資格の取得には、保健所が行っている食品衛生責任者養成講習を受講する必要がある。講習会では、衛生法規や公衆衛生学などの講習を6時間ほど受けるほか、受講料として1万円前後が必要になる。栄養士や調理師の資格を取得していれば講習受講は免除される。
飲食店営業許可(カフェ併設の場合必須)、菓子製造許可(場合によっては必須)
飲食スペースを設ける場合は、店舗所在地を管轄する保健所へ営業許可申請を行い、審査に通らなければならない。また、パンや菓子などを製造し販売するときは、菓子製造許可の取得が必要である。営業する店舗の規模や形態により必要な手続きや書類が異なるため、事前に保健所に相談しておくと良い。
ほかにも業態によって許可が必要な場合があるため、事前に行政に確認すると良い。
開業資金と運転資金の例
書店の開業にあたっては、次のような資金が必要である。
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物件取得費:前家賃(契約月と翌月分)、敷金もしくは保証金(およそ10カ月分)、礼金(およそ2カ月分)など
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内外装工事費:内装工事、看板設置など
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設備・備品費:本棚、パソコン、空調、インターネット回線開設費用など
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広告宣伝費:ホームページ制作費、SNS広告、チラシ印刷など
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仕入れ費:書籍や雑誌の仕入れ代
※業態により、初期費用や運営費は大きく異なる
以下、開業資金と運転資金の例をまとめた(参考)。
日本政策金融公庫では、新規創業やスタートアップを支援する「新規開業資金」の貸付制度を用意している。新たに事業を始める人に通常より有利な貸付条件になっているため、確認してみよう。
また、小規模事業者を対象とした商工会議所の「小規模事業者持続化補助金」も利用可能である。さらに、会計システムや受発注管理システム、POSシステムなどの導入に際しては、「IT導入補助金」も活用できる。
経済産業省による「書店経営者向け支援施策活用ガイド」では、国や自治体の補助や助成を分かりやすくまとめてあるため確認すると良い。
売上計画と損益イメージ
書店を開業した場合の1年間の売上のシミュレーションは、以下の通りである。
営業時間:10:00~20:00
月間営業日数:26日
平均客単価:約1,000円
1日の客数:20人
1日の売上高:約20,000円
年間の収入から支出を引いた損益は下記のようになる。
書籍販売のみだと利益率が低いため、文房具や雑貨の販売や、ブックカフェなど飲食業との組み合わせによって売り上げの向上が見込める。さらに、店舗運営と並行してネット販売も行えば、効率的な運用が期待できる。
店舗の雰囲気や店主の選書センスはファン化につながる可能性があるため、SNSで積極的に発信していきたい。ワークショップなど体験型イベントを企画して、来店を促す仕掛け作りも必要だ。本との出会いにわくわくする機会を提供し、書店の醍醐味を味わってもらおう。
※開業資金、売上計画、損益イメージなどの数値は、開業状況等により異なります。
(本シリーズのレポートは作成時点における情報を元にした一般的な内容のものであるため、開業を検討される際には別途、専門家にも相談されることをお勧めします。)
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