業種別開業ガイド
酒類ディスカウントストア
- 酒類ディスカウントストアとは、酒類を低価格で販売する業態である。以前は、ロードサイドに出店するケースがほとんどであったが、最近は市街地内に出店するケースも多い。
- 総務省統計局「経済センサス(2011年6月3日公表)」によれば、酒小売業の事業所数は、2009年時点で5万2,151事業所となっている。従業員規模別に見ると、従業員数1~4人規模が4万5,165事業所、5~9人規模が4,761事業所であり、従業員数10人未満の事業所が全体の95.7%を占めている。
- 総務省統計局「家計調査(2010年調査)」によれば、家計が1年間に「酒類」へ支払った額は、2人以上世帯(1世帯あたり平均)で4万2,792円である。うち最も購入額が高いのがビール(1万4,075円)であり、次いで発泡酒・ビール風アルコール飲料(8,783円)、焼酎(7,253円)、清酒(6,250円)などが続く。
近年の傾向としては、焼酎への支出が伸びており、2000年に4,556円だった焼酎への年間支出額(2人以上世帯平均)は10年間で1.6倍に拡大している。
単身世帯の場合、1年間に「酒類」へ支払った額は平均で2万6,739円となっている。
同資料(2人以上世帯データ)を元に酒類消費の季節変動を見ると、3月以降の春先から8月にかけて上昇し、9月に落ち込み、12月にピークを迎えるというパターンがあると考えられる。需要のボトム期(2月、9月)とピーク期(12月)の消費額の差は、約1.6~1.8倍程度である。
1.起業にあたって必要な手続き
酒類を販売するために、販売地ごとに店舗所在地の所轄税務署長の免許を得る必要がある。税務署で審査が行われ、審査期間は約2カ月程度である。免許を得ずに販売した場合は、1年以下の懲役または50万円以下の罰金に処せられる。
酒類小売免許は、(1)一般酒類小売業免許、(2)通信販売酒類小売業免許、(3)特殊酒類小売業免許、に分かれる。免許を取得するためには、人的要件、場所的要件、経営基礎要件、需給調整要件の全てを満たす必要がある。詳細は下記の国税庁ホームページを参照のこと。
・国税庁ホームページ
免許取得後は、酒類販売管理者を1名配置しなければならない。管理者の選任後2週間以内に「酒類販売管理者選任届出書」を所轄の税務署に提出する。管理者は選任3カ月以内に財務大臣が研修実施団体として認定した団体が開催する酒類販売管理者研修を受講しなければならない。
2. 起業にあたっての留意点・準備
酒類免許の取得自由化により、新規参入障壁は低くなったが、スーパーマーケット、コンビニエンスストア、ディスカウントストアなどでも酒類を取り扱っており、また、インターネットでも低価格で販売している店舗もあり、競争は激しいもといえる。
総務省統計局「家計調査(2010年調査)」を元に、単身世帯の「酒類」への消費支出傾向を年代別・性別に見ると下の図のようになり、35~59歳の女性はワインを好み、60歳以上の女性はビールを好む傾向がある。また男性の場合、35~59歳だと発泡酒・ビール風アルコール飲料を好み、60歳以上だと清酒、焼酎を好むという傾向が見られる。果実酒やウォッカ、ブランデーなどの「他の酒」は34歳以下の男女に好まれている。
分析はコレスポンデンス分析による。図中では点の近い項目同士であるほど親和性が強い。
図の累積寄与率(説明力)は 0.850と高い。
若年層のアルコール離れも指摘されているが、各ターゲットに合致した商品を訴求したり、酒類以外の関連商品(つまみ、冷凍食品、雑貨等)も同時に販売するなどの経営努力をすることで、集客力を付けることができると考えられる。
また、より低価格で販売できる仕組み(出店費用・家賃・仕入ルート・物流システム)の構築がどこまでできるかも、事業成功の鍵となる。
3. 必要資金例
人口密集地にて店舗面積20坪の酒類ディスカウントストアを開業する際の必要資金例
4. ビジネスプラン策定例
1)売上計画例
* 個人客(構成比50%)単価:3,500円
法人客(構成比50%)単価:25,000円と仮定
2)損益計算のシミュレーション
- ※人件費は、アルバイト1名を想定
- ※初期投資一括計上分は、開業費の金額
- ※減価償却費は、設備工事費・什器備品費等の額を5年で償却したもの
- ※必要資金、売上計画、シミュレーションの数値などにつきましては出店状況によって異なります。
また、売上や利益を保証するものではないことをあらかじめご了承ください。
最終内容確認日2014年3月