業種別開業ガイド
自然食料品店
- 生活の充足が進むなかで、食の「安全・安心」に対する関心が高まっている。とくに自然食品産業は長寿・健康に直接に関連するだけに、中高年齢層に潜在的な拡がりを見せつつある。
- 自然食品店の取扱商品は多様化している。有機農産物およびその加工品が主だが、自然飼料などで育成した肉や魚、調味料や菓子類、エコ雑貨、化粧品、料理読本などの販売活動も行なわれている。それだけに、品揃えの仕方によっては独自の営業活動が表現でき得る特長をもっている。
1.起業にあたって必要な手続き
一般的な自然食品の販売活動であれば、開業にあたっての許認可は必要としない。一般の開業手続きとして、個人であれば税務署への開業手続き等、法人であれば、必要に応じて、健康保険・厚生年金関連は社会保険事務所、雇用保険関連は公共職業安定所、労災保険関連は労働基準監督署、税金に関するものは所轄税務署や税務事務所にて手続きをする。
ただし、酒類の販売、食品の製造販売などを行なう場合には別途、届出が必要となる。また、いわゆる健康食品を販売するさいには、営業を行なう都道府県の担当部署(薬務課)に相談をするのがよい。
2. 起業にあたっての留意点・準備
有機農産物などについてはJAS法による表示義務が課せられている。自然食品店においても、これに関する知識や信用ある仕入取引業者との提携が不可欠であり、適正な商品を適正な商品管理状態で取り扱うことが要求されている。
出店先となる立地の主たる歩行客、混雑の時間帯、駐車駐輪設備の状況、競合業種や競合業態、隣接店の活動状況などは経営者自らが出向いて把握しておく必要がある。また、出店する店舗のハザード、間口と奥行きのバランス、店舗の向き、床や天井の状態、耐震構造、電源や給排水設備の状況、在庫商品の格納設備などについてもチェックする必要がある。
最低の必要売上高を知っておくとよい。概算は、[家庭の必要生活費+雇用人件費+販売促進費+家賃+その他の営業費+(借入金月返済額÷(1-0.4))]÷[(予測粗利益率-目標営業利益率)]で計算できる。
自然食品の需要は季節や天候、産地の生産状況、食生活の趣向変化などによって大きく変化する。したがって売れ筋商品や商品の構成、アレンジ方法を把握するには、一定期間の営業データを集計する必要がある。取扱商品の変化によっては、店舗の陳列や配置、装飾の仕方やPOP演出の方法なども変わってくるため、当面は簡略設備でスタートさせ、状況をみて、設備修正をしていく方が好適といえる。
開業時期における商品構成の戦略的な運用は重要である。そのためには仕入先や同業店の状況から売れ筋商品を把握して、販売活動を行なうことが大切である。無料相談先としては、NPO日本マーチャンダイザー協会やVC・FC協会などがある。
3. 必要資金例
一般の近隣最寄商店街に、10坪程度の自然食品店を創業する場合の必要資金例
(単位:千円)
4.ビジネスプラン策定例
●初年度売上計画例(客席30席)
(単位:客単価は円:日商年商は千円)
●モデル収支
(単位:千円)
売上計画やシミュレーション数値などにつきましては、出店状況によって異なります。また、売上や利益を保証するものではないことをあらかじめご了承ください。
最終内容確認日2014年2月