業種別開業ガイド

害虫駆除サービス

  • 害虫駆除サービスは、住宅や施設の床下や天井裏などの害虫駆除業務が主であるが、その他にも、田畑や庭園・樹木の害虫駆除、建物の外壁や室内のカビ除去・防カビ対策、蜂の巣の除去など業務範囲は広い。

1.起業にあたって必要な手続き

開業に際しては、管轄の都道府県の条例(例:消毒営業取締条例、京都府)に従い、届出や許可を得る必要がある。事業所で適正な管理が求められるものは、殺虫剤や毒物、劇薬、農薬の取扱いや家畜伝染病の予防などである。

2.起業にあたっての留意点・準備

1)営業上の留意点

害虫駆除サービスは、他業種(ビルメンテナンス、ハウスクリーニング、リフォーム工事など)からの参入が多く、競争の激しい業種である。そのため、害虫駆除サービス業者も、本業の害虫駆除だけでなく、住宅の耐震補強、断熱対策、床下湿気対策、給水管赤錆対策など、様々な住宅周辺業務を兼任しながら、顧客を開拓しているところが多い。

害虫駆除作業は、天井裏や床下など、居住者の目が届かない場所で行われることがほとんどであり、また、過去に一部の悪徳業者の存在が報道されたこともあるため、依頼者の信頼を得ることが重要なテーマとなる。住宅に関する親身な相談、誠実な対応、アフターサービスだけでなく、品質マネジメントシステムJISQ9001(ISO9001)の認定を受け、その基準を遵守した仕事の仕方を徹底することが推奨される。
また、「建築物の環境衛生上の維持管理を行う事業者(※1)」として、都道府県知事の承認を得て登録を行うことや、業界団体の付与する「しろあり防除施工士(※2)」や「ペストコントロール技術者(※3)」などの資格を取得することなども、事業者や施術者の信頼獲得につながるだろう。

(※1)建築物の環境衛生上の維持管理を行う事業者
一定の物的・人的基準を満たしている場合、都道府県知事の登録を受けることができる。登録を受けようとする者は、営業所の所在地を管轄する都道府県生活衛生担当部署にて、都道府県知事に申請書を提出する。

(※2)しろあり防除施工士
しろありの防除施工を行う技術者の資格制度として、公益社団法人 日本しろあり対策協会が試験を実施し、合格者には「しろあり防除施工士」の資格が付与される。

(※3)ペストコントロール技術者
有害生物の防除を行う技術を有する個人に与えられる資格であり、公益社団法人 日本ペストコントロール協会が研修等を行い、合格者には「ペストコントロール技術者」の資格が付与される。

3. 必要資金例

以下は、害虫駆除サービスを開業する場合の必要資金例である。

  • 土地・建物等の物件取得費は含まない。

4. ビジネスプラン策定例(モデル収支例)

以下は、上記の条件の下で害虫駆除サービスを開業する場合の必要資金例である。

1)売上計画例

2)損益計算のシミュレーション

  • 初期投資一括計上分は、開業費の金額
  • 減価償却費は、設備工事費・什器備品費の額を5年で償却したもの
  • 必要資金、売上計画、シミュレーションの数値は、状況によって異なります。
    また、売上や利益を保証するものではないことをあらかじめご了承ください。

(本シリーズのレポートは作成時時点における情報を元に作成した一般的な内容のものであるため、開業を検討される際には別途、専門家にも相談されることをお勧めします。)

最終内容確認2017年2月

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