業種別開業ガイド

警備保障業

  • 金融機関やコンビニエンスストアへの強盗事件が頻発し、個人レベルでも乗用車の盗難やひったくり、ストーカーなどへの不安が増すなど、昨今の治安情勢の悪化を受け、警備保障に対するニーズは年々高まっている。また、機械警備など、多額の設備投資やITスキルなどの専門性を必要とする警備に対するニーズや、警備に伴う保証性への要求の高まりによって、警備保障業に求められる要素は急激に増加してきているといえる。
  • 警備保障業の業務内容としては、警備業法のもと、以下の5種類の業務がある。
    • 施設警備...事務所・住宅・駐車場・遊園地などにおける盗難などの事故の発生を警戒し、防止する業務
    • 雑踏警備...人・車両の雑踏する場所、通行危険箇所などにおける負傷等の事故の発生を警戒し、防止する業務
    • 輸送警備...運搬中の現金・貴金属・美術品などに係る盗難などの事故の発生を警戒し、防止する業務
    • 身辺警備...人の身体に対する危害の発生をその身辺において警戒し、防止する業務
    • 機械警備...警備業務用機械装置を使用して行なう警備業務

1.起業にあたって必要な手続き

警備保障業は、「警備業法」によって厳しい規制を受けており、都道府県の公安委員会から認定を受けることが必要である。また、制服のデザインなど公安委員会への届出も多数必要となる。さらに警備業に従事する人は必ず研修を受ける義務があり、定期的な研修もある。その研修を行なう警備員指導教育責任者を事業所毎に配置する必要もある。

2.起業にあたっての留意点・準備

事務所の立地条件は問わないが、事務所から勤務地までの距離が遠いと時間や交通費がかかるため、緊急対応がとりにくい場合もある。そのため、できるだけ交通の便のよい場所に設置した方がよい。

施設警備の場合、施設毎にマネージャーとなる正社員が数名以上いることが望ましい。それ以外にパート・アルバイト従業員が多数必要になる。

警備員の知識・能力などのレベルを公的に明確する制度として、検定制度が設けられている。現在行われている検定制度には、空港保安警備、交通誘導警備、核燃料物質等運搬警備、貴重品運搬警備、常駐警備などがある。こうした警備業務の受注確保のためには、これらの検定制度をクリアした警備員を一定数確保しておく必要がある。

警備保障業を営むにあたっては、警備業法以外にも、警備業務に関する法としての消防法や、労働集約的な事業であり勤務形態も不規則であることから労働関係の諸法(労働基準法、労働安全衛生法、職業安定法、労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備などに関する法律、男女雇用機会均等法)への十分な配慮が必要となる。

コンピュータ・通信などの発達を背景に、従来、人的警備を行なっていたものから、機械警備へと年々拡大してきている。機械警備事業においては、機械警備業務管理者を選任する必要がある。また、犯罪の高度化に対応して、日々、警備システムを高度化していくことが求められており、システム投資コストもかなりかかってしまう。そのため、大規模事業者と小規模事業者の警備技術の格差は開いていく傾向にあり、今後、独立開業する場合には、こうした機械警備を扱っている業者との業務提携も視野に入れておく必要がある。

経営のポイント
安定的な収入を確保するためには、起業時点で固定的な受託先、特に特定施設等の警備を確保しておくことが必要である。
公共団体や公益企業(電気会社・水道会社等)には常に安定的に需要が発生する上、その受託は企業の信頼性確保にも役立つ。経営の安定を図るために、公共団体や公益企業への営業や情報連携を密にしておくことは必須である。
警備保障業は常に犯罪行為や事故と隣り合わせであり、警察との緊密な連携を保つことが必要である。

3.必要資金例

20坪程度の事務所を開業する場合の必要資金例
(単位:千円)

創業に必要な資金項目と金額を例示した表

4.ビジネスプラン策定例

● 初年度売上計画例(24時間警備1施設受注の場合)

施設単価月額100万円×12カ月=年商1,200万円
●モデル収支
(単位:千円)

初年度から5年目までの損益計画を例示した表

●初期投資回収 4年度

* 売上計画やシミュレーション数値などにつきましては、出店状況によって異なります。また、売上や利益を保証するものではないことをあらかじめご了承ください。

最終内容確認日2014年2月

関連記事