ビジネスQ&A

競合店調査の具体的な方法を教えてください。

婦人服・雑貨・和風小物・和風喫茶を併設した小売店を経営しています。客足の伸び悩みから、競合店調査をしなければと思っていますが、具体的なやり方が分かりません。また、一応近隣の婦人ファッションビルなどを偵察してはいますが、当方の店に何を取り入れたらよいのか整理がつきません。中小企業診断士などの専門家に頼んでしまった方がよいでしょうか。

回答

商圏内の競合店についてカード化しましょう。また、周辺地域の「集客施設マップ」に自店と競合店をマッピングし、それぞれが集客のうえでどのような条件下にあるかを把握しましょう。それらの情報をもとに、あなたのお店の機会を活かして強みを伸ばすのです。

売上の主力は婦人服ですね。差別化のためにお店のカラーを和風と設定なさっているようです。でも和のテイストを取り入れることは、最近では珍しくありませんから、ひょっとすると、あなたは競合他店と同じようなことをしているのかもしれません。競合店調査の方法とその結果の活用を考えてみましょう。

【競合店ごとに情報をカード化する】

まず、あなたのお店のお客さまは、どの範囲に住んでいらっしゃいますか?

来店までの交通の便から仮説的に半径○kmと推測したり、地域別にチラシを配って反応をみたり、曜日・時間帯別の来店客に居住地域を直接ヒアリング調査することで調べてみましょう。お客さまのこられる範囲を「商圏」と言いますが、さらにその商圏内のお客さまが買い物をするであろう、広域商圏にある競合店をリストアップします。

次にその競合店の競争力をチェックします。

チェック項目は、競合店ごとにカード化するのが便利です。カードは、競合店の店名・住所・営業時間・面積・駐車場の有無・開店日などの属性データのほか、主力商品・客層・価格帯・プロモーションの観察結果、品質・サービス・清潔感の分析結果を記入できるようにし、最後にその競合店の「強み」と「弱み」が導き出されるものにしましょう。

各競合店を実際に訪れて調査します。できれば平日と週末の来店パターンを観察し、またPOPやレイアウトの変更頻度を知るために週次、月次、季次のデータを集めたいところです。可能であれば、デジタルカメラか、携帯電話付属のカメラ程度で構わないので、写真も撮りましょう。店の人に一言断ってから撮影するのが原則です。

さらに、競合店への人の流れも重要なポイントです。地域の集客拠点となるような施設を把握しましょう。競合店がどのように集客施設からお客さまを呼び込んでいるのかを分析し、自店の集客に活かします。たとえば、チラシ配布一つとっても、より多くの人の集まるところや流れの方向(これを「動線」と言います)が分かれば、効果的なプロモーションが可能になります。

こうした集客施設には、駅などの交通拠点・スーパーなどの商業集積・娯楽施設・大規模住宅地・事業所・学校・病院・官公庁施設などがあります。自店周辺地域の「集客施設マップ」を作成しましょう。自店と競合店ももちろんマッピングします。車道・歩道のほかバス路線なども記入して、人の流れが分かるように工夫してください。自店と競合店が、集客のうえでどのような条件下にあるかが見えてくるはずです。

【SWOT分析が差別化のポイント】

最後に、分析結果をどのように活用するかを考えましょう。

競合店と比較した場合の自店の相対的な「a.強み(Strength)」と「b.弱み(Weakness)」を一覧にします。また、自店を取り巻く環境について、売上を伸ばすうえでのプラスポイントを「c.機会(Opportunity)」、マイナスポイントを「d.脅威(Threat)」として一覧に加えます。このa〜dの4象限を「SWOT分析表」と呼びます。この中から、機会を活かして強みを伸ばす方向で、「ターゲットマーケットの明確化」と、競合店との「差別化」を図るのです。

たとえば、分析の結果、ターゲットとなる客層を「和風の好きな女性」から「和のテイストを取り入れるきっかけとしての情報が欲しい男女」に拡大することが望ましいと思われたとすれば、「暦の知識」とか「日本の伝統色の知識」などを提供し、普段の洋服にワンポイントでその知識を活かす方法を提案することで、あなたのお店を差別化できるかもしれません。

そして、そのような店づくりと同時に、「集客施設マップ」を見ながら、あなたのお店に人の流れを呼び込むように店舗視認性を工夫したり、店外の顧客動線に合わせてチラシを配布したりすることで、来店客数増加を狙うのです。

あなたの手が回らないところがあったら、そこではじめて中小企業診断士などの専門家に依頼して整理すればよいでしょう。

回答者

中小企業診断士 岩佐 大

同じテーマの記事