ビジネスQ&A

各店長のリーダーシップを有効なものにするにはどうすればよいですか?

同業態の飲食店を複数経営していますが、似たような規模・立地であっても、その店長によって、売上もアルバイトの定着率も大きな差がある状況です。各店長のリーダーシップを有効なものとするにはどうしたらよいのでしょうか。

回答

店長が一つのリーダーシップスタイルに固執せず、自身を取り巻く状況に適したリーダーシップスタイルをとる必要があります。店長のリーダーシップスタイルと、店長を取り巻く状況を判断し、最適なものを選択させましょう。

お店を預かる店長がどんなに一生懸命取り組んでいても、取り組む方向が間違ったままでは、そこで働く人々の力を存分に発揮することはできません。そこで店長のリーダーシップスタイルに着目する必要があります。

注意しなければならないことは、その店長のリーダーシップスタイルが、その店舗の状況にマッチしているか、ということです。よって、おかれた状況にマッチしたリーダーシップを発揮している店長は、実績が上がりやすくなりますし、部下も働きやすくなります。逆にそうではない店長は、実績が出にくくなります。

【リーダーシップの状況適合論】

ハウス(R.House)は、リーダーシップの状況適合論として、パス・ゴール理論を提唱しました。これは「リーダーが部下の目標(ゴール)を達成させるには、適切な道筋(パス)を示すことが必要である」という考え方に基づいています。組織に有効なリーダーシップスタイルには、唯一無二のものはなく、組織の状況に応じた有効なリーダーシップスタイルがあるとし、それを4つの類型で示しています。

【4つのリーダーシップスタイル】

1.指示型リーダーシップ

店舗での経験が少ないアルバイトが多く、アルバイト自身が自分で考えて仕事を行うことができない場合に有効です。店長は具体的な指示を出し、その指示を遂行できたか、その結果はどうであったかを細かく管理していくスタイルです。

2.支援型リーダーシップ

アルバイトがある程度経験を積んできて、仕事の習熟度が上がってきた場合に有効です。リーダーは、部下のアイデアや意見を尊重し、感情に配慮するスタイルです。

3.参加型リーダーシップ

さらに業務の習熟度が高まった場合に有効となります。店長が決定を下す前にアルバイトに相談し、アルバイトの意見を活用するスタイルです。

4.達成志向型リーダーシップ

アルバイトが十分に経験を積み、習熟度が上がった場合、困難な目標を設定し、全力を尽くすように求めていくスタイルです。

図1 4つのリーダーシップスタイル

【リーダーがおかれた状況】

パス・ゴール理論では、リーダーがおかれた状況を、「環境的な条件」と「部下の個人的な特性」の2つの側面があるとしています。「環境的な条件」とは業務の明確さや経営責任体制、「部下の個人的な特性」とは部下の自律性、能力、経験といったものです。リーダーのとっている行動が、「環境的な条件」に過剰に反応していたり、「部下の個人的な特性」を無視したリーダーシップであったりすると、リーダーシップは発揮できず、成果が出にくい、としています。

回答者

中小企業診断士 三上 康一

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