ビジネスQ&A

スキルマップの作成と活用方法について教えてください。

生活雑貨を販売している創業30年の小売店です。2代目の私が昨年から経営を引き継いだのですが、隣町に有名店が出店するなど競争が激化しています。当社は、中高年向けに低価格帯の品揃えで営業してきましたが、近隣に若年層向けのマンション開発が複数あることから、成長に向けた業態化を検討しています。これには、従業員の能力向上が成功要因の一つと考えていますので、スキルマップの作成と活用方法について教えてください。

回答

スキルマップは、従業員各人の現在の業務内容に関するスキルレベルを表したものです。従業員の能力・技能を評価することで、やる気を引き出すとともに、不足する能力・技能について教育計画を立てて、能力向上を図るツールとして活用します。

【スキルマップとは】

スキルマップは、従業員一人ひとりの現在の業務内容に関するスキルレベルを一覧表にしたものです。必要能力・技能は、それぞれの業務内容と職責レベルによって設定します。

【スキルマップの活用方法】

スキルマップを活用することによって、経営者や管理職には、個人・グループ・部門単位で現在のスキルがどのレベルにあるのかが一目でわかりますので、能力開発の見える化になります。従業員の能力・技能、力量を評価することで、達成しているまたは不足する能力・技能が視覚的に明示されますので、個別具体的な教育計画を立て、能力向上を図るツールとなります。

スキルマップを掲示して見える化することで、従業員のモチベーションを喚起し、やる気を引き出したり、新たな目標設定に挑戦しようとする意識付けしたりする際のツールになります。

目標管理制度を導入している企業の場合は、次期の目標設定について話し合いをする場合のツールにも活用できます。目標設定したレベルに○印を付すことで、目標を見える化できます。

【スキルマップの作成方法】

スキルマップのフォームは、一般的に縦軸に業務内容と必要能力・技能や資格等を、横軸に従業員名を配し、そのクロスしたところにスキルの達成度合いを表す評価表を記した一覧表です(表1・2を参照ください)。

達成度合いを示すレベルは、いくつかの段階を設けると分かりやすくなります。4段階の場合は、レベル1の基準を「1人でできないが、理解している」というように設定し、4段階の基準を設定します。レベル2に評価した場合は、評価レベルの1と2を塗りつぶします(表1を参照ください)。

評価表の例 評価表の例
スキルマップの例 スキルマップの例

スキルマップの必要能力・技能を「接客」とした場合は、「接客の概要」、接客を構成する「能力細目」、職務遂行のための「能力細目の基準」などについて事前に検討し、評価基準となる能力細目や遂行基準を設定します。経営戦略、ストアコンセプトなどにマッチした必要能力・技能や、評価基準を設定することにより、独自の人材育成も可能となります(表3を参照ください)。

能力細目と行動基準の例 能力細目と行動基準の例
回答者

中小企業診断士 一柳 和博

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