「太陽の塔」で培った技術は、スーパーレジン工業の発展の礎となった。その一つが「レーダードーム(レドーム)」だ。マッシュルームのような球形の構造物で、大型のパラボラアンテナやレーダーなどを雨や風、雪などの自然環境から保護する。電波をよく透過するGFRPが材料に使われていた。1970年代から80年代にかけて、スーパーレジン工業は数多くの受注を獲得していた。
「当時で直径20メートルクラスの大型のレドームを製造していたが、大型の『太陽の顔』を製作したノウハウが生きている」と朝倉氏。電波の透過性を高める設計などの技術に強みを持っており、現状では、大型レドームはスーパーレジン工業が大きなシェアを持つそうだ。
一方、炭素繊維を素材にしたFRPも急速に進化している。炭素繊維(カーボンファイバー)を素材にした炭素繊維強化プラスチック(CFRP)が登場し、スーパーレジン工業も積極的に技術導入した。一般的だったガラス繊維よりも軽量で強度が高い素材で、ビジネスの幅が広がった。航空・宇宙分野への事業展開だ。
2003年には神奈川県津久井町(現・相模原市)にCFRP製造工場を建設。日本の航空・宇宙産業を担う大手各社に積極的にアプローチをかけた。小惑星探査衛星「はやぶさ」の部品もスーパーレジン工業が手掛けた。
2003年に打ち上げられた「はやぶさ」は地球から約3億キロ離れた小惑星イトカワに到達。帰路の途中で通信が途絶え、行方不明になるなどさまざまなトラブルを抱えながら2010年に地球に帰還し、大きな話題を呼んだ。「実は、部品を製造していたとき、『はやぶさ』に使うものだとは知らされていなかった。のちのち地球に帰ってくるころになって、発注先が教えてくれた」と朝倉氏は話す。その後、2014年に打ち上げられた「はやぶさ2」の部品製造では信頼を得て当初から用途が開示され製造に携わった。
衛星の部品は非常に高い品質が求められる。研究開発部門を強化し、発注元の要望に応える部品を製造し、信頼を勝ち取ってきた。「初代」のときには部品がどこに使われるものかもわからなかったが、部品点数は大きく増え、部品の組み立ても任されるようになった。「今年打ち上げたX線天文衛星『XRISM(クリズム)』には、当社の部品がかなり載っている」と朝倉氏は胸を張った。