ビジネスQ&A

商品パンフレットをより良く効果的にする方法を知りたい。

2021年 3月 23日

自社の製造設備を活用して、新製品を作り販売を始めました。これまではBtoBの卸専門でしたが、今回の製品はネットを使ってBtoCで消費者に直接販売することも考えています。既に商品パンフレットはあるのですが、消費者向けにブラッシュアップするにはどうしたらよいですか?

回答

今あるパンフレットを買い手の立場から見直したうえで、製品の良さが的確に表現できているか確認し、不足やズレを埋めていく作業が有効です。その際、マーケティング企画の明確化も合わせて行うことが必要になってきます。

見直しの必要性と手順

出来あがった商品パンフレットが手元にあると、一応形になっているため、あまり吟味せず、すぐ販売に使いたい、多くの人の目に触れさせたいと思ってしまうものです。しかし、特にエンドユーザーへの直販もある商品の場合、販売で成果を上げるためには、その内容で理解してもらえるか、魅力が伝わるか、よく見直してから使うことが必要です。活用を急ぐあまり、かえって販売機会をロスしているような勿体ない事例もあります。
手順としては、商品パンフレットの見栄えと内容を買い手の視点から改めてチェックしていくことが基本です。

よくある勿体ない事例(1)

「見た目のデザインはスッキリして格好いいけれど、内容が良く伝わらない」

製品の魅力をビジュアルで表現できていて良さそうに感じさせることはできても、購入の意思決定に必要な前提情報が欠けているため、売りにつながらないパターンです。
伝えるべき内容に不足や誤りがないかチェックが必要です。製品名・価格・購入方法・販売元・連絡先などの基本事項、商品の種類(色・サイズなど)・仕様(原材料・材質・寸法・重量など)・容量・使用方法・使用上の注意など、買い手が商品を買う際に必ず確認する情報が漏れていないか確認しましょう。
また、製品特長についてもイメージや写真、キャッチコピーで感覚的に伝えるだけでなく、文章で明確に説明することが必要な場合もあります。

よくある勿体ない事例(2)

「盛り込む情報が多く、整理されていないためわかりにくい」

長所が多く訴求ポイントが豊富な分、あれこれ言いたいことを端から記載してしまったため、読み手を混乱させ購買の前提となる商品理解に至らないパターンです。
言いたいことを整理し、製品スペック・用途・特典などのカテゴリごとに分ける、伝えたい順番に優先順位をつける、優先度が高いものを強調する、低いものは小さく扱うか思い切ってカットする、といった作業が必要です。また、そのメッセージは誰に対して言いたいことなのか確認し、混在させないことが大切です。新規客向けかリピーター向けか、品質重視者向けか価格重視者向けか、メイン顧客層向けかサブ顧客層向けか、などを意識してチェックしましょう。

よくある勿体ない事例(3)

「内容は悪くないが印象がパッとせず商品やサービスの魅力が表現できていない」

良い商品だから売れるはずという気持ちからか、あまり見た目に注意を払っておらず、商品理解はされても商品に対する好意獲得が不十分なため、購買意欲を喚起できないパターンです。
一瞬で目に留まるイメージやキャッチコピーは製品全体の評価に大きな影響を与えます。解像度の悪い暗い写真を使っていないか、なんとなく並べただけのレイアウトになっていないか、鮮烈さや印象度の乏しいキャッチコピーになっていないか見直してみましょう。多少お金をかけても、見た目の良さが売りの商品なら写真やデザインのグレードを上げる、世界観・ストーリーが売りの商品ならコピーライティングのレベルを上げる、などの対策が販売増加の早道である場合もあります。

まとめ

上記のよくあるパターンは、全てちょっとした気遣いで解消できるものです。ただ、よく見ていくと自社の商品の魅力が自身でわかっていなかったり、伝えるべきポイントに確信が持てていなかったりといった前段の部分に原因があることが多いようです。やはり、マーケティングの基本に立ち戻って、誰に何をどのように伝えるか、ターゲット・商品コンセプト・差別化ポイントなどを整理し、打ち出すべきイメージを明確にした上で商品パンフレットに落とし込むといったプロセスが重要と言えるでしょう。

回答者

中小企業診断士 橋本 良一

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