関東経済産業局が進めるOJT事業の大きな目的は、商工会議所に所属する経営指導員のスキルアップだ。企業支援の経験が豊富な中小企業診断士などの専門家とチームを組んで、彼らの高度な経営支援の手法を実際の現場で支援に携わりながら身に着けていく。
若手の経験不足という課題を持つ所沢商工会議所。OJT事業は若手のスキルアップの絶好の機会となるが、今回の支援チームには、あえて若手をつけず、ベテランの鈴木氏と指導係長で中堅クラスの中園龍氏が加わった。
「経験が少ない若手をつけてボトムアップで組織に手法を浸透させるのは難しい。管理職がトップダウンで行った方が浸透は早い」(鈴木氏)との判断からだ。メンバーは関東経済産業局の担当職員が2~3人、専門家は中小企業診断士ら2~3人。総勢で約8人のメンバーで、2022年9月からOJT事業による課題設定型の支援をスタートした。
1年間の支援スケジュールの中で、まず前半はOJT事業に参加した専門家のコンサルタント2人が、支援先の幹部職員や従業員らにヒアリングを実施し、事業内容を総点検した。総点検であぶりだした経営課題を今年2月に事業者側に提示。3月以降、経営課題の解決に向けた新たなステップに進んでいる。
支援先の幹部社員たちが自ら課題を見つけ出し、自ら課題の克服に取り組む。PDCA(計画・実行・評価・改善)のマネジメントサイクルをしっかりと回し、改善の道筋を立てる。そんな「自走化」できる体制づくりを目指したサポートを展開中だ。
前半の総点検の作業では、コンサルタントがヒアリングから課題を設定する手法を学んでいった。だが、「それだけでは受け身の勉強になる」と鈴木氏。後半の支援では、自らが経営指導の前面にたって実地で経験を積む方法を申し出た。
「われわれ自身でやらせてもらって、後でコンサルタントからアドバイスをしてもらう。『あそこはよかった』『あれはこうだったからよくない』と指摘していただく」(鈴木氏)。コンサルタントから率直な意見をもらい、さまざまな「気づき」を得たという。