広域専門指導員のもう一つの大きな役割は、経験の浅い経営指導員のスキルアップだ。
「各会議所にいる経営指導員は、商工会議所が新卒で採用した生え抜きの職員が多い。商工会議所内の狭い世界の中にとどまりがちだが、経験豊かな外部から風が入ることで商工会議所の中では得られない知見や経験を吸収できる」と唐澤氏は指摘する。
上田商工会議所の入所5年目・経営指導員になって2年目の若手、西澤研人氏は「申請書の内容を読み取る経験値が圧倒的に足りないので、『ここから何が読み取れるのか』と赤羽さんや丸山さんによく相談している」という。
若手の経営指導員が事業者を訪問する際、広域専門指導員が同行することが多い。広域専門指導員と事業者とのやり取りの中で、経営指導で重要な「対話」や「傾聴」のノウハウを実地で学ぶ。赤羽氏は「われわれは、どちらかというとサポーター役。われわれが『どこまで何をすればいいか』という点は永遠のテーマ」と話す。
「事業者との雑談から相手の考えや人柄、スキルを読み取って、どの角度から本題に入るか。事業者からどう情報を収集するかポイント」と赤羽氏。「まずは『習うより慣れろ』。知識は、慣れていく中で備わるもの。それが交渉力や人間力につながる」と丸山氏。経験に裏付けされたアドバイスが若手に刺激を与えている。
唐澤氏は「若手が特に見習ってほしいのは、2人には『ひきだし』が多いところ。聞き出す力もそうだが、専門家や同業者といった人とのつながりも重要な『ひきだし』になる。そこはぜひ学んでほしい」と話していた。