坂東市商工会には18年に近隣の女性経営者の勧めで入会した。「最初は男性の指導員ではなく、指導員ではない女性の職員が対応してくれ、相談しやすかった」と野口さん。職員の勧めもあって、事業計画の作成に着手。自社の強みを浮き彫りにし、その強みを生かす方法などを一つ一つ検討し、事業計画づくりに反映させた。
事業計画を作成する過程で、整理した自社の強みは、群馬県産のこんにゃく芋を100%使用し、昔ながらの「バタ練り・缶蒸し製法」で製造する点だ。こんにゃくのりを羽の付いた機械で回転させ、こんにゃくに空気を入れて練る「バタ練り」と、出来上がった原料をステンレス成型缶に流し込み、湯の中で一昼夜寝かす「缶蒸し」は、職人の勘と経験が必要で手間もかかる半面、こんにゃく本来の風味や食感を楽しむことができる。
大量生産が可能な一般的なこんにゃくは、製造しやすく安価な「こんにゃく粉」を使い、海藻のヒジキ粉末を入れて作る。ただ独特の臭みが出て、こんにゃく離れの原因になっているという。ところてんも伊豆産の天草を100%使用し、手作りで生産。干し芋も自家農園で栽培した「紅はるか」を使い、蒸し作業から天日干しまですべて手作りで行う。
これに対し、同社の課題は、販売ルートが限られているという点だ。工場に併設した直売所での直販に加え、近隣の古河市、つくば市、常総市などの道の駅やJA農産物直売所などに卸すが、販売拠点は10カ所に満たない。また顧客の75%が60歳以上の高齢者層であり、30歳~40歳代の若い層の掘り起こしが急務になっていた。
経営指導員と対話を重ねて事業計画を作成したことで、「ものづくりに比重を置いていた考えを財務や経営戦略にも重きを置くようになった」と野口さん。事業計画を策定したことで明確になった「若い層への販路拡大」という課題に対応するため、補助金を活用して30歳~40歳代をターゲットに贈答品需要を開拓することとし、まず贈答品メニューの開発に着手した。夏はところてんを中心に1000~3000円程度、冬はこんにゃくを中心に1500~3000円程度の詰め合わせ商品とし、料理の仕方が分からない若い人向けに、唐揚げや青椒肉絲などこんにゃくを使った新たなレシピを考案した。このほかプロのデザイナーやカメラマンに依頼して、注文チラシ・リーフレット・包装紙を作成した。
さらに坂東市商工会のプレスリリースサービスを活用。読売新聞や地元・茨城新聞などに掲載され、売り上げアップにつながった。
「商工会の方と対話をしながら事業計画を練ることで、自分が気づかない点、足りない点が明確になった」と野口さん。すでにYouTubeで新レシピを紹介する動画数本を配信。並行してネットショップの開設作業も進めており、近くネット販売を始める計画だ。