土浦商工会議所の職員は総勢13人。そのうち経営指導員は7人となっている。コロナ禍を通じて補助金申請等で商工会議所に相談する事業者が増えており、会員企業に頼られる組織として新たなステージに進むべき時と認識している。なぜなら、会議所の将来ビジョンに「当地域の企業の成長を商工会議所が支えていく」を掲げているからだ。ビジョン実現に向けた課題として、老舗企業の再成長支援とともに、小規模事業者だけでなく中小企業への支援拡大の必要性を感じていた。ただ、同会議所の飯野中小企業相談所長は「会議所が手掛ける支援は補助金申請や小規模企業への支援が中心で、一定以上の規模の企業支援へのノウハウが乏しい」ことを課題としており、「一過性の支援ではなく、次の100年もあり続ける企業を支援していきたい」との思いが高まっていた。
そんな時に、株式会社オクイから「2024年に創業110年を迎えるので、それに向かって取り組みたい。商工会議所の知恵を借りたい」と相談があった。同じタイミングで関東経済産業局からOJT事業の案内を受けた。この機を逃す手はないと考え、オクイの支援にOJT事業で臨むことを決めた。
商工会議所からは、飯野所長と菅原課長補佐、色川主幹のベテラン・中堅・若手から各1名(職員歴30年・20年・6年目の経営指導員)が参加した。関東経済産業局からは、職員2名と専門家のコンサルタント3名が参加。合計6人の支援体制を組んだ。まず取り組んだのが、役員、経営幹部、リーダー層へのインタビュー。さまざまな立場の社員に話を聴くことで、本質的な課題を把握することにした。インタビューの後には6人でミーティングを実施、課題のすりあわせを行った。
OJT事業で取り組む課題設定型支援は、事業者の自主性や主体性を大切にすることをテーマにしている。決して指導するのではなく伴走する。そのために相手の言うことを傾聴する姿勢が重要になる。菅原氏は「コンサルタントの井原美恵氏の話を引き出すインタビューのやり方に衝撃を受けた。膨大な会話の量からポイントを簡潔にまとめ、もれやダブりもない。あの手法を学べたことは大いに参考になった」と振り返る。色川氏も「今までは窓口に来られる事業者に、補助金をやりたいと言われれば、それに対応するだけで、経営の深いところまで話せていなかった。課題設定型支援はヒアリングから入り、それを課題ごとに分析して相手に示すので、相手も腹落ちして理解してくれた。この経験ができたことで、一つ引き出しが増えた気がした」と、経営支援のスキルを1段上げられたことを実感している。OJT事業の参加でコミュニケーション能力の重要性が再認識できた。今後は支援チームに参加していない経営指導員にも共有し、土浦商工会議所全体の支援力の底上げを図っていこうと考えている。