7、8年ほど前からは創業支援にも力を注いでいる。商工会議所が深谷市に要望して導入された同市の起業家支援事業補助金交付制度では、補助金申請の際に商工会議所に相談したうえで推薦書を出してもらうことが要件に含まれている。そのため起業について年に30~40件ほどの相談を受けているという。経営指導員の小暮雄一氏は「起業したいと言うだけで事業内容が漠然としているケースが多い。相手の話をじっくりと聞いたうえで、必要なアドバイスを行い、アイデアの棚卸しなど起業に向けた支援を行っている。また、創業時に対話を重ねて事業計画を作ってもらうことで、その後の計画策定にも抵抗感がなくなる」と話す。
たとえば、5年ほど前に30代の男性から相談を受けたときのこと。市内のバイク修理工場で働いていた男性はとくに旧車(製造年度が古い車)のバイクに興味があり、旧車を仕入れ修理を施して販売する事業を始めたいと考えていた。人気の旧車を見極める目は持っているが、店舗を持つには資金が足りず、また修理の技術にも自信がなかったという。
そこで商工会議所では「まずは仕入れた旧車をネットオークションで販売することから始めてみてはどうか。軌道に乗ってきた段階で店舗を持ち、修理工を雇って事業を本格化させればいい」とアドバイス。それにしたがって男性はネット上で起業し、その後、商工会議所の支援も受けて事業を拡大。今では実店舗を構えて従業員2人を雇用し、年商は2億円にのぼる。このケースを含め、開業した事業者の9割は商工会議所に入会しているという。
ユニークな取り組みとしては動画作成がある。会員事業者の動画を作成し、商工会議所のYouTube公式チャンネルで紹介している。昨年には美容サロンや整骨院、学習塾など40のサービス事業者を掲載した小冊子「知らなきゃ損!くらし役立ちサービス40」を作成。事業者ごとに付けられたQRコードから動画にアクセスできる。また毎月発行している「深谷商工会議所報」でも、動画につながるQRコード付きで飲食店の紹介記事を掲載している。
これらの動画はプロから手ほどきを受けた商工会議所の職員が作成しているが、短い宣伝動画を撮影・編集するセミナーを開くなどして動画作成でも事業者の“自走化”を後押ししている。