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食中毒の原因や種類、予防方法について教えてください

2021年10月25日

社員2人、創業15年の飲食業を経営しています。気温の上昇に伴い食中毒への対応強化を検討しています。そこで、食中毒の原因や種類、予防方法について教えてください。

回答

食中毒とは人が飲食したことにより体内に取り込んだ細菌やウィルス等が原因となり起こる体調不良のことです。時には命に関わることもありますので、食品を取り扱う人や業者にとっては見過ごすことができない問題です。

食中毒の原因

「食中毒」の原因には、様々なものがあり、以下に主なものを提示します。

  • 細菌
    腸管出血性大腸菌、カンピロバクター、リステリア、黄色ブドウ球菌 など
  • ウィルス
    ノロウィルス、肝炎ウィルス など
  • 動物性自然毒
    フグ、二枚貝(貝毒)、巻貝(キンシバイ等) など
  • 植物性自然毒
    毒キノコ、有害植物 など
  • 化学物質
    ヒスタミン
  • 寄生虫
    クドア、アニサキス

原因によって、食べてから症状が出るまでの時間や期間、その症状や予防方法も異なり、季節によって起こりやすい食中毒など注意が必要なものが変わってくることもあります。また、健康な成人よりも、高齢者や乳幼児、妊娠中の方などは、より注意が必要です。

食中毒の主な症状

食中毒とは、主に腹痛、下痢、嘔吐、発熱などの症状の総称であるため、原因によって症状は異なります。期間も数日から二週間程度続くとされています。

予防のポイント

食中毒は、飲食店、家庭問わずに発生します。まずは、食材、工程別に調理器具を分け交差汚染を防ぎ、器具や手指の消毒を励行することで予防に努めることを推奨します。

食中毒予防の3原則

食中毒菌を「つけない・ふやさない・やっつける」

(1)つけない=洗う・わける

手には様々な雑菌が付着しています。
調理を始める前、生の魚や肉、卵を取り扱う前後、トイレの後、ペットに触れた時、鼻をかんだ時、残った食品を扱う前こんな時は必ず手を洗うように心がけるようにします。
生の肉や魚を切ったまな板などから、生野菜へ菌が付着しないよう、使用の都度きれいに洗うことや殺菌することなども大切です。加熱しない食材から先に調理するのも大事なポイントです。

(2)増やさない=低温で保存する

細菌の多くは高温多湿な環境で増殖が活発になります。10℃以下では増殖速度がゆっくりとなり、マイナス15℃以下では停止すると言われています。増やさないためには低温保存が重要です。食材購入後は早く冷蔵庫に入れ、早目に提供するようにします。

(3)やっつける=加熱調理による殺菌

ほとんどの細菌やウィルスは加熱によって死滅します。肉や魚はもちろん、野菜なども加熱調理した方が安全です。特に、肉料理は中心までよく加熱することが大切です。
ふきんやまな板、包丁などの調理器具にも付着します。特に肉や魚、卵を使った後の調理器具はよく洗って熱湯や殺菌剤を使用して都度清潔を保ちましょう。

食中毒の原因が、ウイルスの場合の重要点:「持ち込まない」、「ひろげない」

(1)持ち込まない=健康状態の把握・管理

調理者が調理場内にウィルスを持ち込まないためには、ウィルスに感染しない、感染した場合は調理場内に立ち入らないことが必要です。日頃から健康管理や健康状態の把握を行い、症状がある場合は立ち入らないようにします。

(2)ひろげない=手洗い・定期的な消毒と清掃

万が一、ウィルスが調理場内に持ち込まれても、それが食品に付着しなければ食中毒に至ることはありません。こまめな手洗いや調理器具の消毒を定期的に行います。

食中毒発生への備え

調理担当者に限らず店舗スタッフは、毎日の体調を記録します。下痢、腹痛、発熱などの症状があるものは、食品の取り扱い作業に従事させないようにします。また、所轄の保健所の指導に従って、赤痢や腸管出血性大腸菌(O157)等の検便検査をします。
万が一への備えとして、食品製造業に限らず飲食店でも各種保険(製造物責任保険(PL法)や食中毒見舞保険金)への加入をします。被害者に支払わなくてはならない損害賠償金(治療費、入院費、薬代、付添い看護料、慰謝料、被害者の休業補償費用など)や応急手当、護送、その他の緊急措置に要した費用、賠償問題解決のために要した訴訟費用、弁護士費用の補償を受け、早期に事業を再開することができます。 なお、食中毒発生が疑われる場合は速やかに所轄の保健所に報告します。

出典:厚生労働省

回答者

中小企業診断士 三海 泰良

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