ビジネスQ&A

飲食店のHACCP対応は何から始めたら良いですか?

2022年 2月25日

社員2人、創業10年の飲食業を経営しています。HACCPが制度化されると聞きましたが、飲食店のHACCP対応は何から始めたら良いでしょうか?

回答

飲食店においてもHACCPの衛生管理義務付けの対象となります。まずは、何が求められているのかを確認して、飲食店では、メニューに合わせて「非加熱のもの」「加熱するもの」とメニューカテゴリー別に分けて対応します。

詳しくは、厚生労働省が業界別に手引書を作成し公表していますので、「飲食店の手引書」を参考に対応します。内容を確認していただき、以下の記録表と各種手順書を作成し管理・保管してください。

  • 一般飲食店における衛生管理計画
  • 一般的衛生管理の実施記録
  • 重点管理の実施記録
  • 連絡先一覧
  • 手順書

HACCP

令和3年6月1日から、原則としてすべての食品等事業者にHACCPに沿った衛生管理が義務付けられます。

対象事業者

衛生管理

詳細

大規模事業者
と畜場
食鳥処理場

HACCPに基づく衛生管理

HACCP7原則に基づき、食品等事業者自らが、使用する原材料や製造方法等に応じ、計画書を作成し、管理を行う。

小規模営業者等
(菓子・豆腐の製造販売、食肉・魚介類の販売、総菜・パン製造業、集団給食施設等)

HACCPの考え方を取り入れた衛生管理

各業界団体が作成する手引書を参考に、簡略さされたアプローチによる衛生管理を行う。

対EU・対米国
輸出対応

HACCP+α

輸入国が求める施設基準や追加的な要件に合致する必要がある。

HACCPに沿った衛生管理に関する基準

1. 危害要因の分析
食品又は添加物の製造、加工、調理、運搬、貯蔵又は販売の工程ごとに、食品衛生上の危害を発生させ得る要因(危害要因)の一覧表を作成し、これら危害要因を管理するための措置(管理措置)を定めること。

2. 重要管理点の決定
1.で特定された危害要因の発生の防止、排除又は許容できる水準にまで低減するために管理措置を講ずることが不可欠な工程を重要管理点として特定すること。

3. 管理基準の設定
個々の重要管理点において、危害要因の発生の防止、排除又は許容できる水準にまで低減するための基準(管理基準)を設定すること。

4. モニタリング方法の設定
重要管理点の管理の実施状況について、連続的又は相当な頻度の確認(モニタリング)をするための方法を設定すること。

5. 改善措置の設定
個々の重要管理点において、モニタリングの結果、管理基準を逸脱したことが判明した場合の改善措置を設定すること。

6. 検証方法の設定
1. ~5. に規定する措置の内容の効果を、定期的に検証するための手順を定めること。

7. 記録の作成
営業の規模や業態に応じて、1. ~6.に規定する措置の内容に関する書面とその実施の記録を作成すること。

8. 小規模営業者等への弾力的運用

1. ~7. はコーデックスのHACCP7原則の内容です。
小規模な営業者等は、業界団体が作成し、厚生労働省で確認した手引書に基づいて対応することが可能ということが8. で示されています。

小規模営業者等

業界団体が作成し、厚生労働省が内容を確認した手引書を参考にして次の6項目を実施していれば遵守しているとなされます。

  1. 手引書の解説を読み、自分の業種・業態では、何が危害要因となるかを理解する
  2. 手引書のひな形を利用して、衛生管理計画と(必要に応じて)手順書を準備する
  3. その内容を従業員に周知する
  4. 手引書の記録様式を利用して、衛生管理の実施状況を記録する
  5. 手引書で推奨された期間、記録を保存する
  6. 記録等を定期的に振り返り、必要に応じて衛生管理計画や手順書の内容を見直す

飲食店の場合

一般的衛生管理のポイント

次のような項目において、「いつ・どのように・問題があったとき」といった考えられることを項目だてます。

  • 原材料の受け入れの確認
  • 庫内温度の確認
  • 交差汚染・二次汚染の防止
  • 器具等の洗浄・消毒・殺菌
  • トイレの洗浄・消毒
  • 従業員の健康管理等
  • 手洗いの実施

重要管理のポイント

提供する食材にあわせた分類と、メニューに合わせた分類やそれぞれのチェック方法をあらかじめ見える化します。

  • 非加熱のもの
  • 加熱するもの(熱いまま提供・高温保存・再加熱・冷却)

作成日や作成者を最後に記入できるようにします。
記録として保存し、必要に応じて改善に活用します。

厚生労働省のホームページには、飲食店向けの衛生管理を「見える化」するための啓発パンフレットの掲載があります。ぜひ参考にしてください。

出典:厚生労働省

回答者

中小企業診断士 三海 泰良

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