起業マニュアル

仕入れるときに決めること

仕入れるときに決めること

仕入先と取引をする際に取り決めておく項目をまとめました。想定されるあらゆる事項について確認し、契約書などに書面にしておけば、取引開始後のトラブルを避けることにつながります。

取引を開始する際の取り決め事項

1.仕入形態

仕入形態には、買取仕入、委託仕入、消化仕入があります。

(1)買取仕入

もっとも一般的な仕入形態で、あなたが商品を買い取って仕入れます。返品が可能な場合があれば、返品の処理方法も事前に確認しましょう。

(2)委託仕入

あなたが商品を買い取るのではなく、商品を仕入先から預かり、仕入先企業の代わりに商品を販売します。商品の販売実績に応じて仕入先から販売手数料を受け取ります。

(3)消化仕入

顧客に商品が売れる時に、あなたが発注する仕入形態です。顧客に売れた分だけ商品は買い取りますが、売れなければ在庫リスクは仕入先が抱えます。

2.価格条件

まず、保証金や加盟金など、取引をはじめるための初期費用が必要か確認しましょう。何に対する保証金や加盟金なのかの説明を求めることも必要です。
仕入価格に関しては、日本特有のリベート制度や事後値決めといった取引慣行はすたれてきていますが、仕入条件によっては各種の割引制度がとられています。割引制度には、以下のようなものがあります。

(1)現金割引

現金払い、または売掛金などの期日以前の回収に対する割引

(2)数量割引

一定期間、または1回ごとの仕入数量に応じた割引

(3)季節割引

シーズン前の季節商品の仕入に対する割引

(4)販売促進割引

小売業者が行う販売促進活動の費用を補填するための割引

(5)業者割引

仲間割引とも呼ばれるもので、企業間の関係などに応じた割引

3.発注数量

発注数量が多いと、仕入条件が有利になることもありますし、仕入先を集約すれば発注コストを削減できます。
しかし、仕入を特定の新規取引先1社に集中することはリスクを伴います。具体的には、契約どおりに商品が納品されないリスクや、仕入先が倒産するリスクなどがあります。そのようなリスクも考慮しながら、特に取引開始当初の発注数量を決める時は、バランス感覚が要求されます。

4.納品場所・納品期限

納品場所について、食品や化粧品などは、必ず直接受け取りましょう。衛生面はもちろんですが、盗難にも注意が必要です。
納品期限は仕入先の信用力に関わることです。納品期限が異常に長い場合や、期限を守らない場合には、取引を止めることが無難です。

5.荷姿、梱包状態

商品を確実に保護する梱包がされているか、あるいは梱包が過剰で仕入コストに上乗せされていないかを確認しておきます。

6.輸送手段、運賃負担

運送費の負担は仕入原価に直接関係します。自社負担なのか先方負担なのか、折半なのかについての折衝は、取引開始時の契約書に必ず盛り込んでおきましょう。

7.保険の種類、負担

最近では保険の種類も非常に豊富になり、その仕組みも複雑化しているため、保険の性質については理解しておく必要があります。保険料の負担についても、運賃同様どちらの負担になるのか確認しておく必要があります。

8.支払条件、支払サイト

日本の商習慣では、代金支払と決済についての取り決めは一般にゆるやかで、支払サイトが長過ぎる傾向があります。取引条件適正化のためには、支払サイトの上限を60日(業種によっては90日)とし、これを超える部分は金利の計上を行うべきという声もあります。仕入先との安定した取引関係を構築するためにも、買い手が一方的な支払条件を設定するのではなく、双方に無理のない支払条件・支払サイトを設定しましょう。

9.トラブル処理

問題が起こる前から問題が発生したときのことを考えておくのは、相手を信用していないような印象を与えると考えがちですが、実際に問題が発生したときに迅速に解決するためにも、返品や納品が遅れたときの扱いなど、あらかじめ想定できる種類のトラブルについては、処理方法を契約書で取り決めておきましょう。