このイベントの仕掛け人は、宮古島商工会議所経営指導員の糸数優子氏だ。
宮古島商工会議所中小企業相談部で補助金の申請や全国の展示会への参加など経営改善・事業成長に向けた幅広い支援を担当している。2021年に沖縄市内で開催された商談会「果報庭(かふうなぁ)」に地元事業者に同行参加したことが大きなきっかけとなった。
「果報庭」は、内閣府沖縄総合事務局が主催する事業者交流イベントで、宿泊や飲食、小売などの県内観光事業者と県内サプライヤーとのマッチングを目的としている。参加した糸数氏はバイヤーを待っているサプライヤーが隣の別のサプライヤーと雑談している場面をみかけ、「それがいい」と思ったという。「事業者同士が他の事業者の商品をみたり、意見交換したり、作り方などを教えてもらったりといろいろヒントをもらっていた。これを宮古島でもやりたいと思った」と語る。
「ぷからす交流商談会」の大きな目的は、地元事業者同士の交流だ。バイヤーもサプライヤーも島内の事業者が中心。販路の開拓だけでなく、イベントを通じて地元の事業者同士がお互いを知ってもらう。交流の中で事業者同士が知恵を出し合って作り出した商品やサービスを観光客に販売し、宮古島の経済が潤う流れをつくることを狙っている。
「『ぷからす』は、宮古島で『うれしい』という意味。参加者の『うれしい』が数多く生まれるビジネスマッチングの場になってほしいという思いを込めた」と糸数氏は話す。
年間100万人も観光客が訪れているのになぜ地元は潤わないのか。逆に土地は高騰し、人手が足らなくなり、求人しても集まらない。物価は高くなる一方だ。「観光地になることはいいことなのか」。一部の事業者からはそんな不満すら聞こえてくる。糸数氏らが事業者たちから受けた相談の中から、その背景が浮かび上がってきた。
「地元の生産者は地元での売り先よりも送料を負担して県外に売っている。一方で島内のホテルは地元の仕入れ先が分からず、卸売業者を通じて県外産を仕入れている。観光客は宮古のものを求めているのに『なんでこうなっているの』と感じ、お互いをつなごうと思った」と糸数氏は語る。
「どうやったらできるだろう」と上司に相談。さらに市や観光協会とも意見交換を重ね、第1回「ぷからす交流商談会」を開催した。人手も資金もない中で、みんなで協力し合いながらの開催だった。「まずはやってみて、何が課題なのかに気付くための商談会だと思ってチャレンジした」と糸数氏。バイヤー・サプライヤーそれぞれ20社程度の参加を目標としていたが、ふだんから付き合いのある事業者などに声をかけ、目標を上回る参加をとりつけた。手作り感は満載だったが、参加した事業者から「また、やってほしい」と声をかけられた。