団塊の世代のすべてが75歳以上になる「2025年問題」、高齢者を支える現役世代が急減する「2040年問題」など将来的な人材不足が懸念されている。これに対応するため高年齢層や外国人、障がい者の活用など効果的に人材を活用できる新しいシステムや新たなビジネスモデルの構築にチャレンジしている。
その一つが高齢者施設での疾病や障がいを持つ方々の活用だ。一般の企業では働けない就労困難者を支援する松江市の障がい者就労支援事業所などと連携し、働きたい障がい者と人材不足の施設厨房とを組み合せるため、2020年から障がいを持つスタッフだけで有料老人ホームの厨房を運営する実証実験に取り組んでいる。
現在、松江市内の施設で実施しているが、そこでは発達障がいのスタッフがワンオペレーションで施設内の食事の盛り付けや配膳などを担当してもらっている。実証実験を通じて、多くの高齢者施設で障がい者の雇用を可能にするためのシステム構築を目指している。
例えば、障がいを持った人たちは、その時の精神状態によって仕事ができたり、できなかったりする。その心の動きをビックデータとAIなどデジタル技術で「見える化」し、指導員が適切な指導や対応ができるように支援する「障がい者の気持ち見える化システム」の開発を進めている。システムを活用して、障がい者の心の動きを指導員がしっかりと読み取り、安定的に働けるよう支えていくためのツールだ。
高齢者施設の厨房の運営は早朝勤務や覚えることが多く、働き手が少ない分野。一方で、障がい者の就労支援事業所の多くは赤字経営だといわれている。われわれの取り組みが全国に広がれば、少なくとも3万人の障がい者の雇用を生み、自立する障がい者を増やすことができるうえ、就労支援事業所の経営健全化、給食現場の人材不足解消にも効果が期待できる。
また、デジタル技術を活用して、高齢者施設の利用者の配膳情報を管理するシステムの開発や厨房での作業を支援するシステムの開発にも取り組んでいる。
利用者の日々の献立の内容、好き嫌い、健康上、提供してはいけない食材などの情報を一元的に管理し、その情報をもとに一人一人の配膳を誰でも覚えずとも簡単にできるようにする。介護施設給食の栄養管理、調理製造からデリバリーまでバリューチェーン全体の品質向上、生産性向上を実現するシステムを構築することを目指している。効率化を進めることで、利用する高齢者だけでなく、これらを支える施設や施設で働く人たちの環境を改善する。
「誰もが最期までごきげんな社会をつくる」が当社のビジョン。サービスを受ける側、サービスを提供する側の双方が「ごきげん」であり続けられる環境を創り出し、老いる日本の高齢化社会をもっとポジティブなものにしていきたい。