二つ目のテーマは技術開発ロードマップの作成。金型の設計製作における売上をさらに増やしつつ、「○○なら南雲製作所」と言ってもらえるようにすることが目的だ。そのためのロードマップを作成し、期限を決めて進めている。一つのターゲットを決め、それに関連する案件を受注しようと全社的に進めてきたが、市場調査に難航した。そこで、ターゲットをいったん白紙とし、既存顧客からの金型案件を断らずに受注し続け、より多くの経験値を蓄積したうえで新たなターゲットを見出す方向に舵を切った。
ロードマップは、状況に応じて見直すことが重要だ。経営者として一度決めたことをやり切ることも大切だが、状況を見て方針を変更することも重要である。そのためのツールとしてロードマップは有効だった。現在、新入社員を2人、設計者として増員し、教育を行っている。顧客の動向を注視しながら、より深く掘り下げるべきターゲットを見定めていく。
三つ目は情報システムの見直しだ。いろいろなシステムが乱立し、つぎはぎ状態であることから業務が煩雑になったり、情報管理上のリスクが増えたりすることが予想されたため、改善を進めた。各部署の作業をフロー化し、些細なことでも困っていることを共有するなど、グループでの作業の進め方も学んだ。その結果、将来的にさまざまなシステムが連携できる可能性の高い生産管理システムを導入することとした。これまで壁一面に生産計画を手作業で貼り出すスタイルだったが、単一のシステムでの作業となり、非常にスムーズになった。現状でも他システムとデータ連携を行うことで、社内向けの帳票作成や原価処理など、これまでの半分以下の時間で完了できる。一部の現場ではタブレットを使用した生産実績収集を行っており、DXへ向けたデジタルツールへの移行の一端にもなった。
これら一連の取り組みの効果もあって2022年3月期の年商は19.7億円となり、直近10年で最高の売上となった。