牛の小腸で新商品開発を決意したものの、どんな食品にすればいいのか苦悩した。どうしても小腸は食感が硬い。そのためまずは関東で主流のモツ煮込に注目し、みそ味で煮て食べる加工品を試みた。が、いまひとつ周囲の反応がにぶい。というのも、関西ではモツ煮込を食べる習慣があまりないため、小腸の煮込にピンと来るものがなかったのだ。
煮込を試食しているうちに社内外から「炒めたほうがいいんちゃう?」との声が上がり、煮込から一転して炒めものへと加工方法を方向転換した。
結果的にはこれが当たった。いまでは家庭でも親しまれているホルモン料理だが、その先駆けとなる食品がこの方向転換によって商品化へと向かい始めたのだ。
さて、加工方法が決まったものの大きな課題も横たわっていた。炒めて(もしくは焼いて)食べる加工品にするためには、小腸の課題である「くさい(=におい)」「硬い(=食感)」「見た目が悪い(=見栄え)」を克服しなければならない。そのため、切り方や加工の仕方、また調味により軟かくするなどさまざまな方法を繰り返し、数カ月にわたって研究した。その結果、同年7月に試作品が完成し、さまざまな場所で試食販売したところ、「おしいい」「食べやすい」と上々の反応を得られた。これにより商品化の手ごたえを感じた同社は、翌82年7月に「こてっちゃん」を発売。すぐに小売店、スーパーから注文が相次ぐ大ヒット商品となった。
ところで、こてっちゃんの商品名の由来だが、焼き肉の本場・韓国では大腸を「テッチャン」と呼ぶ。大腸がテッチャンならば、小腸は「こ(小)てっちゃん」や。なんとも風刺のきいたネーミングだが、ゴロのよさとユニークなコマーシャルも相まってこてっちゃんは急速に市場に浸透していった。