「コアラが日本に来る。コアラをキャラクターにしたスナック菓子をつくろう」—。チョコレートスナック菓子「コアラのマーチ」が1984年3月に発売される約1年前に、ロッテは空洞のあるビスケットを焼く技術を確立していた。空洞のビスケットにチョコレートを入れただけでは、他社商品がすでに先行しており目新しさに欠ける。商品に付加価値を付ける“何か”を探していたところに、コアラ来日の情報が飛び込んできた。
1984年10月にコアラがオーストラリアから日本に初めて贈られてくる情報をロッテは独自ルートで事前にキャッチしていた。「開発担当者は、1972年にパンダが初来日した時と同じようなブームが日本にくると確信した」(商品開発部の村尾氏)。
当時の日本は14歳以下の子供世代の人口が増加していた時期。国立社会保障・人口問題研究所の2013年版人口統計資料によると、1970年の0-14歳の人口は2482万3000人だったのに対し、75年には9%増の2723万2000人、80年には、70年比10%増の2752万4000人に伸びている。若年層の人口増加を受けてロッテは、子供向けの商品を開発しようと企画を練っている時だった。
コアラの愛らしい姿からパンダと同じように子どもに人気が出ると直感した開発担当者は、ミルクチョコレートが入ったビスケットに加える付加価値に「コアラのキャラクター」を使うことを思いついた。
ただ、コアラは一日の大半を寝て過ごす動物。コアラをそのままデザインに仕上げても茶目っけがうまく伝わらない。「お菓子らしい楽しさを演出するにはどうしたらいいか思案した結果、コアラにマーチングバンドを組ませて、愉快で活動的な雰囲気を出すことになった」(同)。コアラのマーチという商品名は、ここから名付けられた。当時は試作の際にコアラの絵柄を一つひとつ筆で書き入れていていたという。根気の必要な開発だった。