フレグランス:合成香料を使い、ファッションや自己表現のアイテムとして楽しむためのもの
アロマセラピー:植物から抽出した香り成分(精油、エッセンシャルオイル)を用いた自然療法
精油には抗菌・殺菌、自律神経系・免疫系への作用がある。植物に含まれる薬理効果で、脳、神経、細胞に働き掛け、体や精神を健康な状態に保ち、自然治癒力を高めていくのがアロマセラピーだ。
合成香料を使っていても「アロマ」とうたう商品もある。日本アロマ環境協会は、アロマ市場の健全な発展のために、植物から抽出された本物の精油の価値を正しく伝えていく必要があると提唱している。また、林野庁の委託事業である日本産天然精油連絡協議会では、国産植物精油の活用が、森林資源の有効利用、地域の雇用・経済の活性化に寄与し、持続可能な循環型社会の構築につながるとしている。医療、福祉、サロン、家庭、化粧品製造などさまざまな分野で国産植物精油が活用されるよう、生産者を含めた業界体制の整備に力を入れる方針だ。
近年のアロマセラピーサロン事情
アロマセラピーサロンなどのリラクゼーション業界は、コロナの影響で市場が大きく減少した。リラクゼーション・温浴ビジネスの市場規模は前年比73.0%の2,759億円となったが、2021年からは徐々に回復する予測を立てている。
売り上げの改善に向け各社、立地戦略の変更、客単価向上のためのサービス見直し、人材の確保・育成の強化といった対策を講じている状況だ。
コロナ禍では、地域密着型サロンが生き残れた傾向にある。ステイホームで繁華街やビジネス街は人の流れが止まったため、休業を余儀なくされた店も多い。一方居住エリアのサロンは、行動制限の合間に疲れをケアしようとする人に重宝され、売り上げを維持できた。
これからアロマセラピーサロンを運営し生き残っていくには、アロマセラピーだけにこだわらないサロン運営が求められる。民間の美容に関する調査研究機関が行った調査によると、人気メニューランキング1位は男女とも「ボディケア・もみほぐし・クイックマッサージ」という結果になった。また、女性はヘッドスパ、男性はフットケアの利用者が増加していることが分かった。
そして、男女とも約3割がアロマトリートメントを利用しているのも注目すべき点だ。アロマを使ったエステやリラクゼーションメニューを取り入れ、客単価アップを狙いたい。エステメニューでは、施術者が技術を必要としない美容機器を用いれば、短期間で研修を終了でき早期収益化に役立つだろう。また、アロマオイルや化粧品、ルームフレグランスなどの雑貨を販売するのも、売り上げ改善に有用だ。
これまでアロマを使ったメニューは女性がメインターゲットだったが、近年は男性からのニーズも高まっている。同調査結果を見ても、アロマトリートメントやリンパドレナージュといったオイルを用いたリラクゼーションメニューが2位となっており、注目の高さが伺える。
下のグラフをみていただきたい。2020年度はコロナ禍の影響で減少したものの、2018年度以降毎年約2,000億円以上で推移している。このデータからも分かるように、男性の美容に対する意識は年々高まっている。アロマセラピーやエステ、リラクゼーションメニューも男性の利用が拡大しているため、今後はジェンダーレスな商品・サービスの提供が求められるだろう。
アロマセラピーサロンの仕事
アロマセラピーサロンの仕事は主に「販促」「接客」「雑務」「管理」の仕事に分けられる。それぞれの具体的な仕事は以下のとおり。
(1) 販促
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SNSやネット予約システムなどを用いて集客を行う
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コンサルタントやスタッフとミーティング
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新メニューの考案
(2) 接客
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電話や直接来店の予約対応
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施術前のカウンセリング
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施術
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次回予約の聞き取り
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必要に応じて店販商品の販売
(3) 雑務
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開店前もしくは閉店後の掃除
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タオルや客が使用した服の洗濯
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POPや看板などの掲示物の制作と掲示
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オイルの補充やその他備品類の発注
(4) 管理
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売上管理(日報や月報作成、帳簿付けなど)
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人材管理(求人、面接、研修など)
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顧客管理
アロマセラピーサロンの人気理由と課題
人気理由
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手に職をつけられる
技術を身につけることで働き口に困りにくくなる
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好きを仕事にできる
マッサージやアロマが好きな人は意欲的に取り組める
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人と関わる仕事ができる
会話やマッサージを通して、ストレスや労働で疲れた人を癒す
課題
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新規顧客の獲得、固定客化の工夫
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WEB予約システム導入などのDX化
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アロマ製品やメニューの展開
開業のステップ
アロマセラピーサロンは、美容室開業時のように保健所への届け出は必要ない。「開業届」の提出は、開業日から1カ月以内に行うと良い。具体的な開業の流れは、次のとおり。
アロマセラピーサロンに役立つ資格
アロマセラピーサロンを開業するにあたって、必須の資格は特にない。アロマセラピーに関連する国家資格はなく、民間資格のみである。資格がなくてもアロマセラピーサロンの開業は可能だが、認定資格があれば新規顧客へのアピールになる。
アロマ関連の資格で代表的なものは、日本アロマ環境協会が認定する資格のアロマテラピーアドバイザーやアロマインストラクター(*)だ。
(*) アロマテラピーアドバイザーやアロマインストラクターの詳しい情報は、こちら(公益社団法人 日本アロマ環境協会)をご確認ください。
また技術面において、全くの初心者から開業に向けた技術を習得する方法は2つある。
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アロマの認定資格を取るためのスクールに通い、知識と技術の研修を受ける
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どこかのサロンへ就職し現場で技術を高めていく
技術面も特に試験をクリアしないといけないという決まりがないため、自分に合う方法で習得すると良いだろう。
開業資金と運転資金の例
アロマセラピーサロンの開業資金は、プライベートサロンにするか大型サロンにするかで大きく異なってくる。また、美容機器を導入するか、開業直後から商品販売を行うかなどによっても確保すべき初期費用は異なる。利用者のネット予約は一般的になってきているため、オンライン集客システムは惜しまずに投資したいところだ。
開業するための必要な費用としては、以下のようなものがある。
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物件取得費:前家賃(契約月と翌月分)、敷金もしくは保証金(およそ10カ月分)、礼金(およそ2カ月分)など
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内装工事費:電気工事、看板設置や内装工事など
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広告宣伝費:オンライン集客システムとの契約費やチラシ作成など
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設備・備品費:マッサージベッドやフットリフレ用チェア、タオルなど
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商品仕入費:アロマオイルやディフューザーなど店販商品の仕入れ
開業資金と運転資金の例を表にまとめた(参考)。
開業にあたっては、金融機関の他、政府系の日本政策金融公庫も利用できる。創業を支援する「新規開業資金(中小企業経営力強化関連)」、認定支援機関の助言があれば金利が安価になる「中小企業経営力強化資金」などの融資制度がある。
売上計画と損益イメージ
アロマセラピーサロンを開業した場合の1年間の収支をシミュレーションしてみよう。
年間の収入から支出(上記運転資金例)を引いた損益は下記のようになる。
アロマセラピーサロンは、いかに固定費や人件費を抑えるかが鍵となる。例えばプライベートサロンなら、自宅やワンルームマンションで開業すれば家賃を抑えられる。大型サロンなら、セラピストと完全歩合制の業務委託契約を結んでおけば、人件費は来客数に応じて最小限で済む。
ただし、収入はセラピストのモチベーションにつながる。固定給制や福利厚生を充実させることで、接客や技術の向上に丁寧に向き合ってくれるようになり、固定客も付きやすくなる。
安定したサロン収入を得るためには、定期的に来店してくれる固定客の存在は大きい。サービスの質を上げて期待以上の満足感を提供し、良好な関係を築ければ、固定客をしっかりとつかむことができるだろう。
※開業資金、売上計画、損益イメージの数値は、開業状況等により異なります。
(本シリーズのレポートは作成時点における情報を元にした一般的な内容のものであるため、開業を検討される際には別途、専門家にも相談されることをお勧めします。)
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