起業マニュアル
定款の作り方
会社の設立では定款を作成します。定款は会社の骨格となる重要な規則です。書籍やwebサイトなどを参考に慎重に検討しましょう。行政書士や司法書士などの専門家に作成を依頼する方法もありますが、どのような会社にしたいかは専門家から尋ねられるはずですので、基本的な事項については考えておきましょう。
定款の記載例
定款の作成では、書籍やwebサイトにある記載例を参考に作るのが一般的です。いくつかの記載例をもとに、自分たちの状況に合わせて修正して原案をまとめましょう。ここでは日本公証人連合会と法務局のwebサイトをご紹介します。
日本公証人連合会「定款等記載例」
法務局「商業・法人登記の申請書様式」
(設立登記申請書の記載例の後ろに定款の記載例があります。)
株式会社の定款に必ず書く項目
株式会社の定款には、次の5つを必ず書かなければなりません。
- 目的
- 商号
- 本店の所在地
- 設立に際して出資される財産の価額又はその最低額
- 発起人の氏名又は名称及び住所
1.目的
目的は、以下のように会社が行う事業を列挙します。
- ○○の製造及び販売
- △△の企画及び運営
- ××料理店の経営
- 前各号に附帯または関連する一切の事業
会社で行うつもりのある事業を書きましょう。事業の数に上限はありません。ただ、後になって定款を変更するのが面倒になるからといって、行う予定のない事業をとりあえずたくさん書くことは止めましょう。目的は登記簿にも記されます。あまりに多いと取引先や金融機関から何の事業をやる会社なのか疑わしく思われます。
最後の号に「前各号に附帯または関連する一切の事業」と書いておくと、事業を関連分野に少し拡大するときでも定款変更しなくて済みます。
2.商号
商号は社名です。株式会社であれば商号に「株式会社」の文字を入れなければなりません。漢字やひらがな、カタカナの他に、アルファベットやアラビヤ数字なども使えます。使える文字について法務省のwebサイトを紹介します。
法務省「商号にローマ字等を用いることについて」
同じ住所に同じ商号の会社は登記できません。また、有名企業と紛らわしい商号や、他社の商標権を侵害するような商号は避けましょう。
3.本店の所在地
「当会社は、本店を○県○市に置く。」と最小行政区画(市町村、東京の23区)まで書くか、「○県○市○丁目○番○号」と住居表示まで書きます。
4.設立に際して出資される財産の価額又はその最低額
設立時に出資される財産価額もしくは最低額を書きますが、これに関連して、資本金の額、発行する株式の数、発行可能株式総数も書くことが多いです。1株の価格をいくらとするかは自由ですが、1株1万円や5万円をよく見かけます。
5.発起人の氏名又は名称及び住所
発起人については、最後の方の附則に、発起人が引き受ける株数と合わせて書くことが一般的です。
6.その他の項目
その他、公告方法、取締役の人数、取締役の任期、決算日などを書きます。
合同会社の定款に必ず書く項目
合同会社の定款には、次の6つを必ず書かなければなりません。
- 目的
- 商号
- 本店の所在地
- 社員の氏名又は名称及び住所
- 社員が有限責任社員であること
- 社員の出資の目的及びその価額又は評価の標準
前半の3つは株式会社と同じです。ただ、合同会社の場合、商号に必ず「合同会社」の文字を入れます。
株式会社との違いは後半の3つです。出資者である社員の名前や住所、社員全員が有限責任社員であること、出資する金銭や物などの価額を書きます。
複数人で会社を設立するときは特に慎重に
定款は重要な規則ですから、作成した定款の案を、会社設立に詳しい専門家である行政書士、司法書士、中小企業診断士、弁護士などに見てもらうとよいでしょう。
出資者が一人で会社を設立するときは、書籍やwebサイトの記入例をもとに作成しても大きな問題にならないかもしれませんが、複数人で会社を設立するときは注意が必要です。
特に合同会社は、議決権の配分や利益の分配、業務執行にあたる社員などの重要事項を定款で決めます。合同会社の定款の変更は原則として総社員の同意が必要です。株主会社でも株主総会で議決権の3分の2以上の賛成が必要です。複数人で会社を設立するときは専門家に相談することを強くお勧めします。