起業マニュアル

一般社団法人

公益法人の概要

公益法人とは営利を目的とせず、社会全般の不特定多数の人々の利益を積極的に追求し、事業活動を行うというもので、その設立にあたっては事業を所管する主務官庁の許可が必要です。一般の営利法人(株式会社など)の設立は届出制であり、この点が公益法人との大きな違いの一つと言えます。

公益法人は、その法人を構成するものが人か財産かによって、次のように分類されます。

  • 人によって構成される......社団法人
  • 財産によって構成される......財団法人

社団法人は、一定の組織をもつ人の集合体であり、構成員の増減・変更に関わりなく存在し、社会関係において1個の単体として認められたものをいいます。一方、財団法人は、一定の目的に捧げられた財産の集合体であり、一定の規則により管理され、社会生活上、権利義務の独立した主体として認められたものをいいます。

公益法人制度改革とは

公益法人制度の大改革

政府は、行政改革の一環として公益法人制度を大幅に改革しており、2007年6月にいわゆる「公益法人制度改革関連三法」※を公布しました。これらの法律は、2008年12月1日に施行されました。

  • 「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律」
    「公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律」
    「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律及び公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律」

改革の概要は、

  • 法人格取得と公益認定の分離
  • 主務官庁制・許可主義の廃止
  • 民間有識者からなる合議制機関による公益認定

などとなっています。

以前は、法人の設立と公益性の判断が一体であったために、法人の設立は容易ではありませんでしたが、これを分離し、登記のみで「一般社団法人」、「一般財団法人」が設立できるようになりました。

「一般社団法人」、「一般財団法人」においては事業に制限はなく、行政庁による監督もありません。そのため、法人の自主的、自立的な運営が可能であり、最低限必要な機関設計や運営方法のみ法律で規定されます。

このように、法律の改正によって「一般社団法人」、「一般財団法人」については、従来に比べて簡便な設立・運営が可能になりました。 なお、新制度開始前に設立された公益法人は、公益認定等委員会の意見に基づく行政庁の認可または認定を受け、一般社団法人・一般財団法人に移行するか、新たな公益社団法人・公益財団法人に移行するかを選択する必要があります(移行期間中に移行しなかった法人は解散したものとみなされます)。

「一般」と「公益」の違い

「一般社団法人」、「一般財団法人」のうち、公益目的事業を行うことを主たる目的とする法人については、民間有識者による委員会の意見に基づいて公益認定を受け「公益社団法人」、「公益財団法人」となることができます。これらの法人は行政庁による監督を受けますが、一定の税優遇等が受けられます。

■「一般」と「公益」の関係図

設立手続き

それぞれの法人を設立するための手続きの概要は以下のとおりです。

一般社団法人

  1. 定款を作成し、公証人の認証を受ける。
  2. 設立時理事(設立時監事や設立時会計監査人を置く場合は、これらの者も)の選任を行う。
  3. 設立時理事(設立時監事が置かれている場合は、その者も)が、設立手続きの調査を行う。
  4. 法人を代表すべき者(設立時理事または設立時代表理事)が、法定の期限内に、主たる事務所の所在地を管轄する法務局または地方法務局に設立の登記の申請を行う。

一般財団法人

  1. 定款を作成し、公証人の認証を受ける。
  2. 設立者が財産(価額300万円以上)の拠出の履行を行う。
  3. 定款の定めに従い、設立時評議員、設立時理事、設立時監事(設立時会計監査人を置く場合は、この者も)の選任を行う。
  4. 設立時理事および設立時監事が、設立手続きの調査を行う。
  5. 法人を代表すべき者(設立時代表理事)が、法定の期限内に、主たる事務所の所在地を管轄する法務局または地方法務局に設立の登記の申請を行う。

公益社団法人・公益財団法人

まずは一般社団法人、一般財団法人として設立し、以下のような認定基準を満たしたうえで改めて申請することになります。
申請先は都道府県知事、事務所が複数の都道府県にある場合などは、内閣総理大臣となります。

<公益認定の主な基準>

  • 公益目的事業を行うことを主たる目的としているか
  • 公益目的事業に係る収入がその実施に要する適性費用を超えることはないか
  • 公益目的事業比率が50/100以上の見込みか
  • 有給財産額が一定額を超えない見込みか
  • 同一親族等が理事または監事の1/3以下か
  • 認定取り消し等の場合に公益目的で取得した財産の残額相当額の財産を類似の事業を目的とする、ほかの公益法人などに贈与する旨を定款で定めているか

また、公益目的事業とは以下のような事業であり、不特定かつ多数の者の利益の増進に寄与するものでなければなりません。

<公益目的事業の基準>

  • 学術および科学技術の振興を目的とする事業
  • 文化および芸術の振興を目的とする事業
  • 障害者もしくは生活困窮者または事故、災害もしくは犯罪による被害者の支援を目的とする事業
  • 高齢者の福祉の増進を目的とする事業
  • 勤労意欲のある者に対する就労の支援を目的とする事業
  • 公衆衛生の向上を目的とする事業
  • 児童または青少年の健全な育成を目的とする事業
  • 勤労者の福祉の向上を目的とする事業
  • 教育、スポーツ等など通じて国民の心身の健全な発達に寄与し、または豊かな人間性を涵養することを目的とする事業
  • 犯罪の防止または治安の維持を目的とする事業
  • 事故または災害の防止を目的とする事業
  • 人種、性別そのほかの事由による不当な差別または偏見の防止および根絶を目的とする事業
  • 思想および良心の自由、信教の自由または表現の自由の尊重または擁護を目的とする事業
  • 男女共同参画社会の形成その他のよりよい社会の形成の推進を目的とする事業
  • 国際相互理解の促進および開発途上にある海外の地域に対する経済協力を目的とする事業
  • 地球環境の保全または自然環境の保護および整備を目的とする事業
  • 国土の利用、整備または保全を目的とする事業
  • 国政の健全な運営の確保に資することを目的とする事業
  • 地域社会の健全な発展を目的とする事業
  • 公正かつ自由な経済活動の機会の確保および促進ならびにその活性化による国民生活の安定向上を目的とする事業
  • 国民生活に不可欠な物資、エネルギーなどの安定供給の確保を目的とする事業
  • 一般消費者の利益の擁護または増進を目的とする事業
  • 上記に掲げるもののほか、公益に関する事業として政令で定めるもの

■参照ホームページ
公益法人制度改革の概要(行政改革推進本部事務局)

最終内容確認 2014年3月