リングエコーは、360度から超音波を照射・受信するため、対象物の特長を見逃がすことなく、画像に影ができないのも特長だ。医療市場を分析し、撮像する対象は検診に使用されるマンモグラフィーに課題がある乳房が一番入りやすいという結論に達した。
起業後、資金調達の傍ら開発を重ね、いまは製品化に向けた最終段階にある。「技術的課題はある程度クリアしていて、あとは医療機器メーカーとしてやっていくための事業計画との闘い」だ。
志保さんは「医療現場は男性目線の機器が多く、女性の痛みをよくわかっていない。女性目線の機器を出して、検査はがまんしなくてはいけないものという既存概念を覆してやりたい」と思っている。検診は痛くも恥ずかしくもない。健康であることを確認するのは普通のことで決心や緊張が必要なものではない。とくに乳がんは美容的な観点からも早期発見が大事だ。女性の大切なバストを守るためにも気軽に検診ができる環境を整えていきたいと願っている。
商品の形状やデザインはもう決まっている。あとは価格だ。製造認可が下りたら、レディースクリニックも大学病院などあらゆる医療機関に売り込んでいく。先進医療に前向きな自治体との連携も視野にある。「痛くない、恥ずかしくない」という検診ニーズは日本だけでなく外国にもあるはずだから、「快適性」を売り物に日本の乳がん検診率を伸ばし、実績を積み重ねて3~4年後をめどに海外にも打って出る考えだ。
「母を奪った病気とは違い、乳がんは早期に発見されれば治る可能性が高い。リングエコーで乳がん検診率が上がり、がんを早期に発見することで患者さんやその家族の負担が少しでも軽くなるようにしたい」と志保さん。この人を突き動かしているのは「病気に対するリベンジ」なのだ。
※掲載している内容は、4月7日に発令された緊急事態宣言前に取材したものです。