次なる転機は、今も続く新型コロナの感染拡大だ。とくに自分の健康状態をスマホで登録・確認できるアプリ「MySOS」の利用者が急増した。もともとは倒れている人を見つけた時など、救急時の対応をサポートするために開発されたのだが、コロナ禍のなか、自宅やホテルで療養する感染者の健康状態を観察するツールとしてニーズが高まった。「MySOS」を通じて感染者自身が日々の体調を回答することができ、保健所の職員らが感染者一人ひとりに電話などで体調を確認するという作業が軽減された。また、PCR検査のデジタル陰性証明書をスマホで受け取ることができ、検査機関に結果をもらいに行く必要がなくなった。
さらに、ICTを駆使してコロナ禍の大きな課題、感染対策と経済活動の回復にも貢献したいとしている。そのひとつが医療関係者間コミュニケーションアプリ「Join」の活用だ。新型コロナ感染症の医用画像ティーチングファイル集(症例集)を医療機関に対して無償で提供し、「Join」で閲覧できるようにした。また、感染対策用途で「Join」のIDを追加する場合は無料で提供。いずれも感染拡大の抑制に役立ててもらうのが狙いだ。
一方、経済活動については、コロナ禍で苦境に立たされているイベント関係での「MySOS」の活用を目指している。具体的には、「MySOS」とPCR検査など各種検査とを組み合わせた大型イベント向けの感染症対策ソリューション「MyPass」の提供だ。イベント参加予定者に開催日前の一定期間、「MySOS」で健康状態を記録してもらうとともに、事前に郵送した検査キットで検査を受けてもらうもので、すでにプロ野球チームと共同で取り組みを実施している。坂野氏は「感染防止のため無観客や入場者数の制限、さらには開催中止というケースが相次いでいるが、それでは経済活動が停滞するだけ。適切な感染対策を提供することで経済対策との両立に役立ててもらいたい」と話す。