ビジネスQ&A

良いFC(フランチャイズチェーン)と悪いFCの見分け方のポイントを教えてください。

接客が好きなので、飲食店を経営したいと思っています。実家がサラリーマン家庭だったので、経営のノウハウはないのですが、牛丼チェーン店でアルバイトを長くやっていました。いまは環境が悪いので、牛丼店として独立するつもりはありませんが、やはりどこかのフランチャイズチェーンに加盟するつもりです。よいフランチャイズチェーンと悪いフランチャイズチェーンの見分け方を教えてください。

回答

よいFCを選ぶには、本部の経営理念は明確か、業種・業態にパワーがあるか、収益性に優れているか、サポート体制が充実しているか、この4点については押さえておきましょう。実際に加盟する際は、専門家の意見を聞いてみるとよいでしょう。

フランチャイズはノウハウの提供側(フランチャイザー)のパッケージが競争力をもち、ノウハウを受けてビジネスを展開する側(フランチャイジー)との関係が良好な場合には、両者に多様なメリットをもたらす極めて有効なシステムということができます。それに対し、パッケージ自体の商品力が十分でない場合や、フランチャイザー・フランチャイジー両者が堅固な協力関係を築けない場合には、ビジネスが不調に終わる確率が高く、現実にトラブルに発展するケースも少なくありません。

無用なトラブルを回避し、フランチャイズシステムの有効性の恩恵を享受するためには、加盟前の調査、検討を慎重に行う必要があります。その際のポイントは、大きく分けて以下の4点です。

  1. 本部の経営理念や姿勢が明確で、同調できるか
  2. 業種・業態にパワーがあるか
  3. 収益性に優れているか
  4. サポート体制が充実しているか

以下に詳しく見ていきます。

【本部の経営理念や姿勢は明確で、同調できるか】

どれだけ収益性の高いパッケージであっても、本部を信頼することができないようでは、長期的な協働関係を築いていくことはできません。経営理念や経営者のメッセージは必ずチェックして、パートナーシップを組んでいくことができる相手かどうかについて考慮することを、加盟の検討に先立って行わなければなりません。

また、新しい市場、技術、業態などの開発に熱心な革新的な本部か、環境対策や安全対策に積極的に取り組んでいる本部か、情報公開や関係者への対応などから誠実性はみてとれるか、このような点についても確認しておいた方がよいでしょう。

【業種・業態にパワーがあるか】

個人で事業を行う場合、事業を成功させて長く続けるためのコツは、「自分が好きな事業を選ぶ」ことです。まさに「好きこそ物の上手なれ」です。長い労働時間や、事業が順調でないときに耐えることができるのは、好きな仕事をしているからなのです。まずは、ご自分が好きな、あるいは興味がある業種で事業を行っている本部を選択することが大切です。

そして、本部がその業種の中でどのようなポジションに存在するかを確認します。業種自体が好調であっても、本部に競争力がない場合、同業種内の競争に勝ち残ることはできないでしょう。一方、すでに成熟してしまって今後成長が見込めない市場では本部に加盟しても、あまりうまみはありません。

100店舗未満の出店数で、成長力、将来性に魅力を感じる本部というのが大体の目安ではないでしょうか。

また、業種・業態は差別化されたものであるかどうかも重要なポイントです。営業ノウハウやブランド力が他社と比較してオリジナリティがあり、競争優位の源泉となり得るものでなければなりません。

【収益性に優れているか】

収益性が優れたパッケージであることは、加盟の最低条件の一つです。投資回収期間が他社に比較して短いこと、ロイヤリティ支払後の営業利益率が十分に確保できること、この2点が収益性を見るうえでのポイントです。

また、個人で加盟する場合は、必要投資金額が高額な業態は向きません。設備や人員をあまり要さない業態を選び、自己資金に見合ったパッケージを探さなくてはなりません。

【サポート体制が充実しているか】

加盟した後、事業準備期間や事業開始後にどれだけ本部のサポートを受けられるか、その本部の協力度や本気度についても確認しておきましょう。フランチャイズというシステムは、本部の協力と加盟店の自己努力がなければ成功しないと言われています。サポート体制について本部に事前に確認するほかに、すでに加盟しているオーナーを数軒訪問して、評価を聞いてみた方がよいでしょう。

以上4点は良いFC本部選びの大まかなポイントとなります。

実際に加盟される際に、判断に困る、客観的な意見がほしい、という場合には専門家に意見を求めることをお勧めいたします。どのようなFCに加盟するとしても、個人としては大きな資金と時間を費やすことになります。加盟する前の準備には十分な時間をとって検討することが、成功の鍵と言えるでしょう。

関連情報で無料相談窓口のリストを紹介しています。お近くの窓口で、専門家に相談してみてください。

回答者

中小企業診断士 櫻井 正人