3.過剰在庫が起きる原因
まず、在庫管理を行う担当者がいなくて、適当に発注したり在庫を積み重ねた結果、過剰在庫になっているのは論外であろう。定期的に棚卸しを行い、正しく在庫管理をすることで、発注すべき商品と適切な量を見極めることが大切だ。
適切な在庫管理をしているはずなのに、過剰在庫が生じてしまうこともある。例えば、需要を読み違えて、大量に発注してしまう場合だ。ここでは、需要を読み違えやすい商品の例をみていこう。
(1) 季節物の商品
衣料品や家電製品などで、季節に合わせて販売している商品は、季節が過ぎると売れなくなる。例えば、真夏の時期に冬物のコートや石油ストーブが売れることはほとんどないだろう。
毎年の需要から予想して発注量を設定しても、天候によって計画が狂うこともある。例えば、秋物の商品を仕入れても、いつまでも暑い日が続くと、秋物は予想外に売れなくなる。
次のシーズンまで、倉庫で保管しておけばよいという考え方は、過剰在庫によるリスクを生じさせる原因となる。衣料品などであれば、倉庫で保管する間に虫食いなどでダメになる危険もあるし、家電製品にしても、翌年に新バージョンが販売されてしまうと売れなくなる。
仮に売れたとしても中古品同様の価格で出すことになり、当初の予定よりも売掛金が少なくなってしまうのだ。倉庫に眠らせている間に発生する保管費用や維持費を考えれば、損でしかない。
(2) サイズ展開や多色展開している商品
衣料品や靴など消費者の体に合わせて様々なサイズを展開している商品は、特定のサイズだけ売れ残り過剰在庫となりやすい傾向がある。多色展開している商品も、一定の色のみが売れ残ることはよくあることだ。
このような事態を避けるためには、過去の実績からして、売れ残りやすいサイズや色は発注を少なくするといった調整が必要になろう。
(3) 競合が多い商品
市場では売れ筋の商品は、多めに確保しておきたいと考える企業も多いだろう。しかし、売れ筋の商品は競合も多いため、売れるメーカーが偏っていたりすると、不人気メーカーの商品が売れ残り過剰在庫になることもある。売れ筋の商品でも、競合の商品の販売状況なども加味して、発注する量を決めるべきだろう。
(4) 商品価値が低下した商品
商品価値や魅力が低下した商品は、次第に売れなくなる。出荷状況からそのような状況が予測できたのに、主力商品だからといった理由で、これまでと同様の発注を続けていると、いつの間にか、過剰在庫になってしまう。出荷が減っている商品は、たとえ主力商品でも発注を抑えなければならない。その上で、新たな価値を付加した新商品の開発を行うなどの改善策を検討すべきだろう。
(5) 返品が多い商品
発送した商品が顧客から返品されることもある。返品された分は出荷済みとして新たに発注していることが多いだろう。すると、返品在庫と新たに発注した在庫が積み重なってしまう。注文が多い商品ならば、すぐに出荷できるだろうが、そうでなければ、過剰在庫になってしまう。
誤出荷や初期不良が多い場合は、倉庫管理や商品の問題になるが、返品が多い顧客との取引では、返品されることも見越した在庫管理が必要になるだろう。
(6) ECと実店舗で併売している商品
ECと実店舗と販路が二つあるなら、過剰在庫とは無縁と考えていると思わぬ落とし穴にはまってしまう。販路が二つあるだけに、余分に発注しがちで、結果として適正在庫を把握できずに過剰在庫となりやすいのだ。
(7) 原価低減を目的として生産量を増やした商品
自社で商品を製造し在庫を持つ場合に、過剰在庫となりやすい要因の一つに、生産過剰が挙げられる。生産現場では、商品1つあたりの製造原価を下げる「原価低減」を目的に大量生産を行うこともあろう。その結果、倉庫で過剰在庫を抱えてしまうこともあるのだ。
このような事態にならないためには、生産現場と倉庫の間で情報共有を行って、生産量を調整することや大量生産を是とする生産現場の意識改善、KPI・評価の見直しを行う必要がある。