ビジネスQ&A

越境ECを活用した顧客開拓では、どのような点に注意すればよいですか?

和紙と竹を中心とした和風インテリア家具を製造する創業50年の企業です。海外展開を見据えて、越境ECによる顧客開拓を計画しています。集客方法、Webサイト構築、店舗運営方法、決済方法、配送方法などの注意点を教えてください。

回答

越境ECは、他国の取引相手と商品の売買を行う「貿易」に該当するため、適切な商品・対象国・サービスを選定することが重要です。初期段階は出品販売代行会社を利用して始め、慣れるにしたがって、単独での海外モール出店や独自ドメインによる出店等を検討してみてください。

他国の取引相手と商品の売買を行う「貿易」に該当する越境ECでは、商品を海外ユーザーへ無事届けるための国際輸送・決済ルールを理解したうえで、商品・対象国・サービスを選定することがポイントとなります。

越境ECは大きく分けると、モールに出店するか、単独で独自ドメイン店舗を出店するかに分類できます。モールへの出店も、出品販売代行会社を使う場合と単独で出店する場合に分かれます。

【出品販売代行会社利用によるモールへの出品】

出品代行会社を利用して、自社商品を各種モール等へ出品します。

(1)メリット
  • Web製作、海外顧客対応、受注・注文管理等は代行会社が行うため、手離れがよい。
  • ユーザー数の多いモールへの出品となるため、独自ドメインと異なり、初期段階で売上を作りやすい。
(2)デメリット
  • 出店している海外モールに対して、自分たちで販促等のマーケティングができないため、ノウハウが蓄積されない。

【単独でのモールへの出店】

商品説明の翻訳、海外モールへの出店申請、オープン後の顧客対応、注文管理、配送管理等を自社で行う場合が多くなります。また、日本からは簡単に出店できない有名モールや、商品カテゴリーによっては出品制限も存在します。そのほか、海外口座の開設が必要かどうかなど、出店条件を確認する必要もあるでしょう。

(1)メリット
  • 自社で店舗運営をするため、自社内にノウハウが蓄積される。
  • ユーザー数の多いモールへの出品となるため、独自ドメインと異なり、初期段階で売上を作りやすい。
(2)デメリット
  • 顧客対応や配送管理等の業務を求められるため、時間と手間がかかる。
    →これらの業務には、外注や専門家による支援が必要となる。

【単独で独自ドメインを取得しての出店】

ショッピングカートの選定、ドメインの取得、物流・決済会社の選定、海外サイト翻訳等の海外ECシステムの構築が必要となります。

(1)メリット
  • 自社で店舗運営をするため、自社内にノウハウが蓄積される。
  • 顧客名簿を入手できる。
  • モールへの出店のように、売上ロイヤリティがかからない。
(2)デメリット
  • アクセス数を増やす対策が必要になる。
    →SNSや海外リスティング広告を活用する。
  • 顧客対応や配送管理等の業務を求められるため、時間と手間がかかる
    →これらの業務には、外注や専門家による支援が必要となる。

越境ECを活用する際は、初期は出品販売代行会社を利用して始め、慣れるにしたがって、単独での海外モール出店や独自ドメインによる出店等を検討するようにしてください。

回答者

中小企業診断士 大寺 規夫

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