「待遇の相違」は、労働条件全体としてではなく、基本給、賞与、退職金、諸手当等の個別の労働条件ごとに判断されるとしたこと。
労働者から求められたときには、使用者は「待遇の相違」の内容や理由について説明する責任があるとしたこと。
求められる対応
正社員以外の方から、例えば、「何年も働いて、経験も積んでいるのに、昇給しないのはなぜですか」と聞かれたら、あるいは「住宅手当がないのはなぜですか。正社員も私も転勤がないのは同じなのに」と聞かれたら、どう対応されますか。
パート有期法は、こうした場合、待遇の相違の理由などについて説明することを使用者に義務づけました。説明ができないとすれば、待遇の相違は「不合理なもの」と受けとめられ、極端な場合には訴訟につながる恐れがあるということです。
最近の判例をみると、正規・非正規間の待遇の相違に関して、2018年7月の改正法公布に先立つ同年6月、最高裁から大変に重要な判決(ハマキョウレックス事件、最高裁第2小法廷平成30年6月1日判決)が出されました※1。この判決では、運送会社の有期契約のドライバーについて、皆勤手当、無事故手当、作業手当、通勤手当、給食手当が支給されていないことが「不合理な待遇の相違」に当たるとされたのです。また、この判決に前後して、さまざまな種類の待遇の相違について、「不合理」と判断する下級審の判決が相次いでいます※2。
最高裁の判決は、パート有期法の施行を見越して厚生労働省が平成28年末に公表した「同一労働同一賃金ガイドライン(案)」を踏まえているといわれます。「ガイドライン(案)」は、パート有期法の成立後、基本的には同じ内容で、「同一労働同一賃金ガイドライン」※3として公表されました。個々の労働条件ごとに、どのような場合が「不合理な待遇の相違」に当たるのかなどを具体的に示しており、実務上、非常に重要なものです。
パート有期法と「ガイドライン」に基づいた検討、具体的には、基本給、賞与、諸手当、退職金、福利厚生等の個々の労働条件ごとに、正規・非正規間に待遇の相違があるかどうか、待遇の相違がある場合にはその相違が不合理なものかどうか、不合理なものである場合にはどのように解消するか、などの検討が求められているということができます。
中小企業にとって改正法の適用は2021年4月であるとしても、上のような検討と見直しが必要であとすれば、時間が十分にあるとはいえないでしょう。第3回では、パート有期法のポイントや「ガイドライン」についてご紹介します。