業務用エアコンは2006年10月からCOP表示に加えAPF表示をしています。
業務用エアコンは商店、事務所、工場などで使うことを想定して作られている製品で、能力は4.0kW以上です。そして、APF表示の対象となる業務用エアコンは、定格冷房能力が28kW以下の「空冷式冷房専用形」および「空冷式冷房・暖房兼用(ヒートポンプ)形」の製品です。
COP(Coefficient of Performance)は、定められた温度条件での消費電力1kW当たりの冷房・暖房能力(kW)を表したものです。この数値が大きいほどエネルギー消費効率が良く、省エネ性の高い機器と言えます。
一方、APF(Annual Performance Factor)は一年を通して、ある一定の条件のもとにエアコンを使用した時の消費電力量1kWh当たりの冷房・暖房能力(kWh)を表示したものです(下図参照:出典は日本冷凍空調工業会のホームページ)。
APFを算定する際の建物用途として、「戸建て木造住宅」、「戸建て店舗」、ビル内の「事務所」を想定し、それぞれの建物に応じた、熱貫流負荷、日射負荷、換気、内部発熱負荷などを考慮して、冷房負荷と暖房負荷を定めるようになっています(出典:「エアコンディショナーのエネルギー消費効率及びその測定方法(案)」経済産業省)。
また、冷暖負荷の使用期間については、東京をモデルとし、下表の条件のもとで、外気温度ごとの発生時間を採録しています(出典: 「エアコンディショナーのエネルギー消費効率及びその測定方法(案)」 経済産業省)。
以上のご説明からご理解いただける通り、COPがある一定の温度条件で運転した場合の1点の性能(能力)ポイントであるのに対し、APFは年間を通じた総合負荷と総消費電力量を算出している分、実際に近い効率が算出可能であると言えますが、下記のような課題もあります。
APFでの実機を用いた能力(COP)試験は、定格冷房・暖房能力、低温暖房能力、中間冷房・暖房能力の5点で、冷房時の室内側乾球温度は27℃で湿球温度は19℃に、また、暖房時の室内側乾球温度は20℃で湿球温度は最高15℃に固定し行います。そして、冷房定格と中間での能力試験時の室外側温度は35℃、室内側乾球温度は27℃、室内側湿球温度は19℃に固定されています。一方、暖房定格と中間での能力試験時の室外側温度が7℃で室外側湿球温度が6℃、また、暖房低温能力試験時の室外側温度が2℃で室外側湿球温度が1℃に固定されています。そして、外気温度の違いによる能力(COP)の算出は5点のデータを使い計算で求めることとなっていて、定格能力以下では常に定格能力より高い能力(COP)が得られる結果となることです。つまり、殆どすべての我が国の空調機が採用するインバータ空調機では低負荷時の能力が、また、非インバータ空調機では定格以外の能力が過大に評価されている恐れがあることです(出典: IEEJ 2009年3月掲載 日本冷凍空調工業会作成)。
APFでの実機を用いた能力(COP)試験は、エアコン圧縮機の回転数を固定し、室内温度は試験装置が制御しています。実際のエアコン運転では、エアコン自体が圧縮機の回転数制御と温度(流量)制御を行っています。このため、特に低負荷でのエアコンの能力が予測できていない恐れがあります。
すでにご説明の通り、「戸建て木造住宅」、「戸建て店舗」、ビル内の「事務所」で想定する冷暖負荷の使用期間が異なります。その結果として、「戸建て木造住宅」では暖房期間総負荷が大きく、ビル内の「事務所」では冷房期間総負荷が大きくなります。加えて、「戸建て木造住宅」用空調機(ルームエアコン)では暖房中間期の性能が、また、ビル内の「事務所」用空調機(業務用エアコン)では冷房中間期の性能がAPF性能の表示に強く影響を与えます。したがい、中間負荷以下の負荷での負荷量は無視できず、低負荷での精度のある能力推定が重要となっています。