そのトランザクションを基に、取引の頻度や規模および過去の支払い履歴などから融資上限や条件が決定される
借入企業はその提示された融資上限範囲内で融資を受けることができる
(2)フィンテック企業や金融機関への申し込み
トランザクションレンディングは、主にフィンテック企業によって提供されています。これらの企業は、企業の売上や決済データをリアルタイムで取得し、AIやアルゴリズムを用いて迅速に融資審査を行います。特に、クラウド会計ソフトやECプラットフォームを提供している企業本体やその関連子会社などにより、トランザクションレンディングが提供されているケースが多く存在します。そのようなケースでは、フィンテック企業が自社の提供サービスを通してリアルタイムでデータが取得できるため、さらに迅速な融資決定がなされます。
また、最近は金融機関もフィンテック企業と連携して、トランザクションレンディングを提供しています。大手金融機関だけでなく、地域の金融機関の中にも取り組んでいる機関が増えてきています。取引のある地域金融機関に取り扱いがあるか確認してみてください。
(3)活用方法
トランザクションレンディングは、通常1年以内の短期間で返済されることが多く、返済は売上回収金から自動的に相殺される形で行われることが主流です。そのため、融資金の使い道としては、売上につながる仕入れ資金などに活用されることが多いです。
特に売上が増加する見込みがある企業や、販売先が確定しており安定した売上が見込める企業であれば、短期的な仕入れ資金としてトランザクションレンディングは優れた資金調達方法といえるでしょう。
3.メリットとデメリット(注意点)
トランザクションレンディングには、中小企業にとって次のようなメリットとデメリット(注意点)が存在します。
(1)メリット:信用力が不足していても利用可能
企業や個人の取引データを基に融資審査を行うため、伝統的な金融機関による融資と異なり、財務状況が十分でなくても、日々の取引履歴や決済データ次第で資金を調達することが可能となります。
そのため、過去に金融機関から融資を断られた方や、直前期の決算が赤字になり資金調達に難航している企業や個人でも、安定した売上データがあれば融資を受けられる可能性があります。
(2)メリット:柔軟な審査とスピーディーな資金調達
上述のとおり、金融機関は決算書や試算表を確認して融資を行います。決算書や試算表は作成までに時間を要するため、数カ月前の過去のデータを表している内容となり、現状を反映させた内容ではありません。一方、取引データはリアルタイムに現状を確認することができます。そのため、現時点における企業や個人を評価してもらえることで、財務諸表に頼らない柔軟かつ迅速な審査がなされ、数日以内のスピーディーな資金調達が可能となります。
(3)デメリット:金利や手数料が高めになる可能性
トランザクションレンディングは、柔軟で迅速な融資が可能な半面、融資金の回収リスクが高いため、金利や手数料が金融機関融資に比べて高めに設定されることが多いです。特に、短期的な資金繰りには便利ですが、長期的に見るとコストがかさむ可能性が高く、長期的な利用はお勧めできません。資金繰り表を作成して、金利や手数料を含めた返済負担を事前に確認し、収益性に与える影響についても十分に検討することが重要となります。
(4)デメリット:データセキュリティの確認
トランザクションレンディングを利用する際には、企業の売上データや取引履歴をフィンテック企業や金融機関に提供する必要があります。そのため申し込みを行う前に、データ保存の安全性やプライバシー保護の取り組みが徹底されている企業かどうかを十分に確認することが重要です。データ漏洩や不正利用の情報が存在しないかなどをしっかり確認し、できる限りリスクを回避した上で信頼できる金融機関やフィンテック企業を選びましょう。
(5)デメリット:信用スコアへの影響
トランザクションレンディングの返済状況は、企業の信用スコアに影響を与えることがあります。例えば、返済の遅延や未払いが発生してしまうと、延滞などの履歴となり、将来的な資金調達が困難になってしまう可能性があります。また、短期資金であるがゆえに毎月の返済額が大きくなりがちな点にも注意しましょう。返済資金用に見込んでいた売上回収金が後ろ倒しになると、手元資金が少なくなってしまうリスクも考えられます。資金調達時には確実に返済できるかどうか、資金繰り表などを作成して事前に十分検討した上で利用しましょう。
トランザクションレンディングは、迅速な資金調達が必要な場面や、銀行融資を受けることが難しい企業にとっては大変有力な選択肢です。ただし、その柔軟さの裏にはリスクやコストが存在しており、資金の使い道や返済計画を慎重に検討した上で利用することが重要です。