平成25年6月、障害者雇用促進法の改正が公布され、平成28年4月より障害者に対する差別の禁止などの規定が施行されること、また平成30年4月より法定雇用率の算定基礎の対象に新たに精神障害者を追加することとなりました。これら改正法も踏まえ、会社として現在できる対応を考えていくことが求められます。ここでは、概要、職業上の特性とその対応、国の支援策とに分けて、それぞれ説明していきます。
【精神障害者雇用の概要】
精神障害者を含む障害者雇用は年々増大しており、平成26年には43.1万人が雇用されています(精神障害者は、2.7万人)。平成25年に引き上げられた法定雇用率の2%には届かないものの、実雇用率は1.82%に達しており、企業としては労働力の確保や社会的責任の観点からも取り組みが必要です。
図1 障害者雇用状況
【就業上の特性とその留意点】
精神障害には、統合失調症、気分障害(そううつ病など)、てんかん等とさまざまな傷病があり、それぞれに特徴があります。ここでは精神障害者の就業上の特性から、どのように雇用支援対象者に接していったらよいか、そのポイントを以下解説します。
1.穏やか、寛大な対応を心がける
自尊心の低下、職務遂行、職業生活の維持への自信不足、過度な緊張などの心理状態になりがちです。このため、寛大な対応、笑顔で接する、温かい声かけで緊張を緩和します。
2.表情を豊かにして気持ちを必ず言葉で伝える
個人の感情や気持ちを認識する能力が低下する傾向があります。このため、職場では必ず言葉で伝えて、言葉での指示以上の行動は期待しないようにします。
3.まじめであることを評価する
まじめすぎてストレスを上手にコントロールすることが苦手なため、プラスの面を評価するように心がけます。
4.自己の職業能力の評価を適切にできないことを認識する
自己の能力低下を認知できないため、本人の希望と能力の間にギャップが生じることがあります。これは、精神機能の影響があるため、専門機関に相談することが大切です。
5.当初は休憩を多くして労働時間を短くする
職場では常に緊張状態でいることが多いため、心身ともに疲れやすいです。仕事に慣れるまでは、休憩の回数を多くする、労働時間を短くするなどの配慮を行います。
6.当初は作業の流れや手順を決めて行う
工夫、応用、新しい知識の習得が困難な場合が多いので、事前に一日の流れと実施事項を決めておきます。
7.当初は安全なストレスレベルから始める
臨機応変な作業が苦手であるという特性があるため、判断・責任等の精神的プレッシャーが少ない仕事につかせます。ただし、仕事から受けるストレスの感じ方は個人差があるため、本人や主治医、産業医と話し合いを持ってください。
8.気長に改善を促す
どのような作業ができるかを把握して、あせらずに一つひとつ改善をします。
【国の支援策】
国には事業主に対する雇用支援制度があります。ハローワークには、職業定着のために障害者担当職員を配置し、関係機関と連携してきめ細やかな支援をしています。また、障害者雇用の経験が少なく不安がある場合には、職場適応援助者(ジョブコーチ)による支援が受けられます。これは、各都道府県単位で実施している自治体もあるようですので、確認をしてみてもよいでしょう。