教育訓練給付金の支援拡充
教育訓練休暇給付金の創設
2.自己都合離職者の給付制限解除
令和7年4月1日より、自己都合で退職した者が、雇用の安定・就職の促進に必要な職業に関する教育訓練等を自ら受けた場合には、給付制限なしに雇用保険の基本手当を受給できるようになりました。詳しい内容は、本コラムの第1回「自己都合離職者の給付制限期間短縮について」に記述していますのでご参照ください。
3.教育訓練給付金の支援拡充
令和6年10月1日に教育訓練給付金の支援拡充が施行されました。拡充された支援では、教育訓練給付金について、訓練効果を高めるためのインセンティブ強化を目的とし、雇用保険から支給される給付率を受講費用の最大70%から80%に引き上げられています。これは、個人の主体的なリスキリング等への直接支援を強化することで、その推進を図り、教育効果としての賃金上昇や再就職等の可能性を高めるための措置となります。
さらに専門実践教育訓練給付金については、訓練後に賃金が上昇した場合に、現行の追加給付に加えて受講費用の10%を上乗せ支給することが省令で定められました。対象となる資格・講座は、中長期的なキャリア形成に資する専門的・実践的な教育訓練講座を対象としており、具体的には医療・福祉関係の専門資格等があります。
また、速やかな再就職及び早期のキャリア形成に資する教育訓練講座を対象とする特定一般教育訓練給付金についても、資格取得した場合、受講費用の10%が追加支給されることが省令により定められました。具体的な対象資格・講座には、大型自動車第一種運転免許等の運転免許関係や医療・社会福祉関係の講座等があります。
4.教育訓練休暇給付金の創設
自発的な能力開発を支援するため、在職中の被保険者が教育訓練のために休暇を取得した場合、基本手当に相当する給付を支給する「教育訓練休暇給付金」が新たに創設されます。
これまで、在職中の労働者が自発的な教育訓練に専念するために仕事から離れる場合、その訓練期間中の生活費を支援する仕組みがありませんでした。そこで、労働者が生活費等への不安なく仕事を休んで教育訓練に専念できるように、「教育訓練休暇給付金」が令和7年10月1日から施行されることとなりました。教育訓練休暇給付金は、教育訓練を受けるため、雇用保険被保険者である労働者が無給の休暇を取得した場合に、基本手当に相当する給付として、賃金の一定割合が支給されます。
(1)対象者
対象者は雇用保険の被保険者であり、原則、休暇開始前2年間に被保険者期間が12か月以上あることが支給要件の一つとして規定されています。ただし基本手当と同様に、疾病・負傷その他省令で定める理由により、引き続き30日以上賃金の支払いを受けることができなかった場合は、最大で休暇開始前4年間に拡大される特例もあります。
その他、教育訓練のために無給の休暇を取得すること、雇用保険被保険者として雇用されていた期間が5年以上あることも必要な条件となります。
(2)給付額と給付日数
給付額は基本手当と同額です。給付日数は、被保険者期間に応じて90日、120日、150日のいずれかとなります。なお、教育訓練休暇給付金の支給を受けると、休暇開始前の被保険者であった期間は基本手当の受給資格決定に用いる期間から除かれることとなります。
(3)教育訓練休暇の範囲
具体的な教育訓練休暇の範囲については省令に委任されています。省令案として、被保険者が教育訓練休暇を申し出るに当たっては、教育訓練休暇期間、教育訓練の目標、教育訓練の内容、教育訓練の実施機関名を明らかにすること等について検討されています。
(検討されている教育訓練実施機関の例)
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大学、高等専門学校、専修学校又は各種学校が行う教育訓練
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教育訓練給付金の支給対象として厚生労働大臣の指定を受けた講座を実施する施設が行う教育訓練
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その他職業に関する教育訓練として職業安定局長が定めるもの
(4)支給
教育訓練休暇の受給期間についても、基本手当と同様に原則教育訓練休暇を開始した日から起算して1年以内に取得された教育訓練休暇の日に限り支給されます。認定は、30日に1回、直前30日間の休暇取得実績について確認されます。具体的な認定方法は省令により定められます。
労働者が自発的にリスキリングに取り組み、新たなスキルを身に付けることは、企業と労働者の持続的な成長に不可欠です。一方、人手不足に直面する企業にとっては、教育訓練休暇制度が長期休職や離職につながるのではないかという懸念もあるでしょう。しかし、能力向上の機会を提供することは、労働者の意欲や生産性の向上、離職率の低下といった効果をもたらし、結果として制度の活用が企業の健全な成長・発展に寄与するものと考えられます。
企業の成長は、一人ひとりの人材の成長が欠かせないという認識が、今後ますます重要になっていくでしょう。
監修
社会保険労務士法人三平事務所 三平和男代表社員