「新型コロナウイルス感染症には手洗いや消毒が効果的」というニュース報道にヒントを得て、今まで経験のない「自社製品の開発」に取り組もうと決断した。以前から下請けだけの経営では存続が厳しいと思いながらも、なかなか行動に移せなかった。しかしコロナ禍の受注激減を機に、これまでに培ったノウハウを最大限に活用した「抗菌手袋の開発」にチャレンジすることにした。
早速、繊維会社に問い合わせたところ、抗菌・制菌・防臭効果のある糸があることが分かった。またニュースで「銅に抗菌・抗ウイルス効果がある」ことを知っていたことから、この糸と銅繊維とを一緒に編み込んだ手袋の開発に着手した。
商品化に当たっては、より多くの人にとって使いやすく、安価で、ストレスがかからない点を重視した。薄手で手にフィットし、伸縮性に優れた手袋を目指し、独自の編み方を取り入れた。通常の手袋よりも手首を長めに仕上げ、手首周りの締め付けを工夫することで、ストレスを軽減するなど、試行錯誤しながら商品化に成功した。
素材の内訳は、レーヨンシルク70%、銅繊維15%、ポリエステル、ナイロン、ウレタンが各5%。公的検査機関に黄色ブドウ球菌を使った抗菌性能の試験を依頼した結果、洗濯を10回繰り返したにもかかわらず、洗濯前の手袋と同等の抗菌性能を維持していたことが明らかになった。また通電効果のある銅繊維を使っていることから、手袋を付けたままでスマートフォンや現金自動預払機(ATM)を操作できるなど、さまざまな作業が可能だ。