江戸時代の鉄砲製造を起源とする鋳物のまち三重県桑名市で、鋳物製品を手掛けている。創業は1950(昭和25)年だ。キューポラという煙突のような溶鉱炉で鉄を溶かし、手作業で砂型を作る「手込み造型」で、小ロット多品種・短納期の注文に対応している。
鋳物業界には、1キロいくらという重さで取引する慣行がある。一般的な工業用鋳物製品の収益性は低いままだ。当社は、小ロット多品種・短納期への対応力を強みとして取引先と交渉を重ね、契約などの諸条件を適正化してきた。
新型コロナウイルスに見舞われたのは、こうした企業努力の最中だった。最も打撃を被ったのは、主力としている工業部品だ。売り上げは、前年比で半減するまでに落ち込んだ。
しかし、当社には未知のウイルスにも負けない商材があった。契約条件の適正化をステップに、さらに成長するため、トレーニング用のウエイト器具「ケトルベル」を2016年から製造・販売してきた。鋳物の短所とされる「重さ」を活かした、高収益が期待できる商品だ。
この「ワンハンドジム」と呼ばれるほど在宅トレーニングに適しているケトルベルの売り上げが、新型コロナによる巣ごもり需要で急増した。19年の1年間で285個だった通販サイトの売り上げは、20年4月の1カ月だけで200個以上に跳ね上がった。年間では、前年実績の3倍以上となる900個を販売した。
社長の私が自らケトルベルを使ったトレーニングで肉体を改造し、ケトルベルの世界的な指導団体SFG(ストロング・ファースト・ギリャ)のインストラクター資格を取得。社屋に併設したトレーニングジムで、入門者にトレーニング方法を指導している。ギリャは、ケトルベルを意味するロシア語だ。