2021年 3月 8日
1.コロナでどのような影響を受けましたか

江戸時代の鉄砲製造を起源とする鋳物のまち三重県桑名市で、鋳物製品を手掛けている。創業は1950(昭和25)年だ。キューポラという煙突のような溶鉱炉で鉄を溶かし、手作業で砂型を作る「手込み造型」で、小ロット多品種・短納期の注文に対応している。
鋳物業界には、1キロいくらという重さで取引する慣行がある。一般的な工業用鋳物製品の収益性は低いままだ。当社は、小ロット多品種・短納期への対応力を強みとして取引先と交渉を重ね、契約などの諸条件を適正化してきた。
新型コロナウイルスに見舞われたのは、こうした企業努力の最中だった。最も打撃を被ったのは、主力としている工業部品だ。売り上げは、前年比で半減するまでに落ち込んだ。
しかし、当社には未知のウイルスにも負けない商材があった。契約条件の適正化をステップに、さらに成長するため、トレーニング用のウエイト器具「ケトルベル」を2016年から製造・販売してきた。鋳物の短所とされる「重さ」を活かした、高収益が期待できる商品だ。
この「ワンハンドジム」と呼ばれるほど在宅トレーニングに適しているケトルベルの売り上げが、新型コロナによる巣ごもり需要で急増した。19年の1年間で285個だった通販サイトの売り上げは、20年4月の1カ月だけで200個以上に跳ね上がった。年間では、前年実績の3倍以上となる900個を販売した。
社長の私が自らケトルベルを使ったトレーニングで肉体を改造し、ケトルベルの世界的な指導団体SFG(ストロング・ファースト・ギリャ)のインストラクター資格を取得。社屋に併設したトレーニングジムで、入門者にトレーニング方法を指導している。ギリャは、ケトルベルを意味するロシア語だ。
2.どのような対策を講じましたか

ケトルベルは、4kgから48kgの間に4kg刻みで12種類のラインナップを展開している。当初の10種類から増強した。競合製品よりも重量タイプを豊富に取り揃え、幅広いニーズに対応している。
売れ筋の16kgと24kg用の鋳型を追加して増産体制を整備した。ラインナップの充実と並行して、生産能力を倍増した。効果的な全身運動が気軽にできる在宅トレーニングの方法をSNSで発信し、販促活動にしている。
増産体制整備には、三重県よろず支援拠点くわなサテライトと桑名商工会議所のバックアップを受け、コロナ対応の持続化補助金と三重県の補助金を活用した。
売り上げが低調な工業部品については、試作型の製造を内製化することで、新しい需要を取り込めるように検討している。
3.今後はどのように展開していく予定ですか
トレーニングで健康な体をつくるという文化を根付かせ、社会に本当に必要とされる会社にする。コロナ禍の巣ごもり需要が好調要因であることを理解しているだけに、ケトルベルの人気を一過性のものにしたくない。
SNSによる情報発信は、巣ごもり以外の需要を掘り起こすためにも欠かせない販促手法だ。購入者には、トレーニングを通じて当社のファンであり続けてほしい。
ケトルベル事業の拡大を三重県の地域資源で伝統産業の一つである「くわな鋳物」の知名度向上につなげることで、地域の活性化にも貢献したい。
- 企業名
- 有限会社伊藤鉉鋳工所
- Webサイト
- 設立
- 1974(昭和49)年
- 代表者
- 伊藤允一 氏
- 所在地
- 三重県桑名市和泉247
- Tel
- 0594-22-2265




