公的金融機関のセーフティーネット融資や厚労省の雇用調整助成金の活用はもちろん、工場稼働減で空いた時間を活用し、社長や職人を講師に、従業員向けのスキルアップセミナーを開講した。技術の習得や維持、次の商品開発のための新たな技術開発に取り組み、新規で自社ブランドを5つ創出した。約10種にのぼる自社ブランドのカタログやSNSを活用したプロモーション方法を見直し、マーケティングを再考した。
手応えを得たのは「宮城興業版・トランクショー」だ。トランクショーとは本来、特定ブランドのスタッフがトランクに入る程度の自社製品を持ってホテルなどの会場を訪れ、顧客を招待して行う展示・受注会のことだが、コロナ禍で県を跨いだ営業ができないため、新たに立ち上げた新ブランドのサンプルをトランクに詰め、ショー開催を希望する店舗に送り、ミニ展示会的なイベントを行ってもらった。
コロナ禍で余裕がない店舗は、お金をかけずに売上を上げる方法を模索していた。トランクショーなら在庫リスクを抱えず、既存顧客への新提案のほか、新規顧客獲得のための幅広いブランドを提案できる。当社はSNSを使った周知活動での支援を行い、サンプルの行き帰りの送料を負担する。店舗側にはほとんどリスクが無い。
5月ごろから考え始め、これこそが今求められている形だと確信し、9月に開始したところ、全国約500店の取引先から引き合いが相次ぎ、いまでは毎週どこかの店で何らかのブランドのトランクショーが開催されている。
その結果、取引先1店舗あたりの売上が増加し、新規の取扱店を開拓できたし、当社の新ブランドを知ってもらうことで既存取扱店舗の取扱いアイテムも増加した。取扱店舗とのコミュニケーションが密になり、店舗側のニーズをつかむこともできた。なによりの収穫は営業マンが現場に行かなくても売上を上げられることが分かったことだ。