最大許容濃度
4種類のフタル酸エステル類の組み合わせで合計0.1重量%
RoHS指令対象は適用されない
なお、4種類のフタル酸エステル類はともに「生殖毒性 区分1B」に該当するため、厳しく管理されます。
(2)RoHS指令との関係
RoHS指令の第4条および附属書IIで、DEHP、DBP、BBP、DIBPの4種類のフタル酸エステル類を含有させてはならないと規定しています。
最大許容濃度は、4種類のフタル酸エステル類のそれぞれが0.1重量%としており、REACH規則の4種類合計とは異なっています。
なお、REACH規則のエントリー51は、制限の要求はRoHS指令対象製品については、適用しないとしています。エントリー51だけでなく、REACH規則とRoHS指令の規制が重複しない取り組みは規定されています。
RoHS指令とREACH規則との認可・制限の関係については、RoHS指令前文10で「本指令の附属書は、REACH規則 の附属書XIV及びXVIIを考慮するために定期的に見直しされなければならない。」としています。さらに、「特に、HBCDD 、DEHP、 BBP 及びDBP の使用がもたらす人への健康及び環境に対するリスクを最優先に考慮すべきである。」としています。
なお、HBCDDはPOPs条約の規制に委ね、RoHS指令の対象から外し、DIBPが対象となりました。
また、RoHS指令の前文16では「附属書IIの制限物質のリストの見直し及び改定は、他のEU法規と特にREACH規則 との独立した運用を確実にしながらも、実施される作業は一貫性があり、相乗効果を最大限化し、また補完的性質を反映させるものでなくてはならない」としています。
RoHS指令では附属書III及び附属書IVで用途の除外を認めており、この附属書の改定も行われます。この改定についても、RoHS指令第5条 (附属書への科学と技術の進歩の適用)で、「用途の除外の追加がREACH 規則により与えられる環境と健康の保護を弱めることなく」、「電気電子機器の材料及び部品を特定の用途について附属書III及びIVの除外に含める」としています。
このように、RoHS指令とREACH規則の運用は、調和された運用となっています。この運用について、“REACH AND DIRECTIVE 2011/65/EU (RoHS) A COMMON UNDERSTANDING(REACH規則とRoHS指令の共通の理解)”が、2014年7月14日にEU委員会から発表されています。(注1)
REACH規則はEU化学品庁(The European Chemicals Agency:ECHA)が主管し、RoHS指令は環境総局(Directorate-General for Environment)主管と、異なる組織が管理していますので、一本化しきれていない点が残っています。
法規制上は、RoHS指令が適用される電気電子機器の構成部品となる電気電子部品にはRoHS指令の基準(個々のフタル酸エステル類が0.1重量%)が適用されます。
RoHS指令が適用されない製品の構成部品は、REACH規則が適用される可能性があります。
(3)可塑剤とコンタミネーションの可能性
4種類のフタル酸エステル類は可塑剤として使用されますが、この用途をREACH規則が規制するものです。
「可塑剤」とは、本エントリー5項で次の用途としています。
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ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ポリ酢酸ビニル(PVA)、ポリウレタン
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シリコーンゴムと天然ラテックスコーティングを除くその他のポリマー(特に、ポリマーフォームとゴム材料を含む)
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表面コーティング、ノンスリップコーティング、仕上げ剤、デカール、印刷デザイン
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接着剤、シーラント、塗料およびインクを除く任意の他のポリマー(とりわけ、ポリマー発泡体およびゴム材料を含む)
身近な可塑化された素材はPVCです。PVCは可塑剤を10~50重量%入れて柔らかくしています。工場の塩ビマットのように、柔らかくして組立時に傷が付くことを防いでいます。
可塑剤を0.1重量%程度を入れてもPVCを柔らかくする効果はなく、含有しているとすれば「非意図的」含有です。
PVCに使用されたDEHPなどの可塑剤は、結合しているものではないので、表面に浸み出す可能性はあります。表面に浸みだした可塑剤が組立作業中の製品に付着(コンタミネーション)する恐れがあるとして、顧客要求として
「作業台上のPVCマットの撤去」
「ベルトコンベアのベルトがPVC製であれば使用禁止」
「ペンチ、プライヤなどの工具の柄にPVCを使っていれば手袋をする」
などが考えられます。
PVCマットなどからマット上での作業による組立製品への移行(コンタミネーション)は否定できません。ただ、通常の作業で、法規制に抵触する可能性は極めて低いとする報告書が、(地独)東京都立産業技術研究センターから公開されています。(注2)
逆に、移行(コンタミネーション)を増やす条件は、温度、時間、接触圧力や材質(軟質PVC)などです。密封した容器で、温度を上げて接触圧を高めると、軟質PVCでは、表面に移行します。
夏休みなどで長期間保存する場合は、PVCマットに接触するゴム脚の下にアルミ箔を置くなどの作業要領を決めるとよいと思います。
設計管理、調達管理での非適合材料の使用防止と作業管理でコンタミネーションを防止するもので、適合宣言の基本となります。
(4)まとめ
REACH規則もRoHS指令も4種類のフタル酸エステル類の使用を制限しようとするものです。4種類のフタル酸エステル類合計0.1重量%(1,000ppm)と、個別に0.1重量%とでは、大きな差異があるように見えますが、共に使用しないことが要求されている点は同じです。
4種類のフタル酸エステル類を使用しない場合でも、コンタミネーションで非意図的に含有することは否定できません。このために、部品材料の調達、サプライヤーや作業工程でのコンタミを防止する管理が必要となります。
仕組み化することにより、コンタミネーションの防止をすることになります。現在、貴社が行っているグリーン調達基準書をベースにして非意図的混入を防止することになります。
このような仕組みによる適合宣言は“DECLARATION of COMPLIANCE”のようなタイトルで、次の項目などを英語で入れるとよいと思います。
We, **** Co.,LTD, Postal Address, ***************** , Japan, declare under our sole responsibility that the product described below is in compliance with the following regulations and directives.
1. Product Name:
2. Model Name:
3. Trade Mark
4. Confirmation of compliance:
5. Signature:
6. Address: など
引用情報等
注1
注2