私傷病による退職
普通解雇 等
ただし、上記に該当する場合であっても、事前に規定を設けることにより、定年年齢に近い従業員の退職や、在職中にとくに功労のあった従業員への加算を行うこともできます。また、同じ「自己都合退職」でも、事前に会社に申し出て業務の引継等を行った上で退職した合意退職と、一方的な通告による自己都合退職を区別して、支給金額に一定の差をつけることも可能です。
一方、勤続年数の計算方法については、産前産後休業、育児介護休業、休職や出向の期間を勤続年数に含めるか否か等、具体的に記載しておく必要があります。また、中途で非正社員から正社員に転換した従業員について、非正社員としての勤務期間を除外する場合は、その旨も記載しておきましょう。
3.懲戒解雇等、退職理由による減額規定等を定める
懲戒解雇事由等に該当する場合の退職においては、退職金の減額や不支給の規定を定めておく必要があります。退職金は、過去の功労に対して支給されるものでもあるため、過去の功労を無にするような重大な背信行為があった場合でない限り、退職金全額を不支給とすることは、裁判において無効と判断される場合も多々あります。このような理由からも、不支給規定だけでなく、減額についても規定しておくことが重要と言えます。
一方、退職金支給後に懲戒解雇事由等が判明する場合もあります。そういった場合には「在職中の行為に懲戒解雇、または諭旨解雇に相当する行為が発見されたときで、すでに退職金が支給されている場合は、退職金の一部または全部の返還を求める」旨の記載をしておくことも可能です。
また、解雇手続に入る前に、一方的に退職願を提出して自己都合退職してしまった、などということもありえます。このような場合も減額等ができるよう規定しておくことが大切です。
・退職金の減額・不支給等の記載例(巻末参照)
4.情勢の変化に伴う改廃規定を設ける
今日では終身雇用制の崩壊や経済情勢の変化、会社の経営状況等により、退職金制度を廃止したり、退職金制度自体を設けない会社もあります。しかしながら、いったん制定した退職金規程の改廃は、従業員にとっては労働条件の不利益変更ともなるため、そう簡単に変えられるものではありません。そのため、「この規程は、経済情勢の変化、関係諸法規の改正、および社会事情の変化や会社の経営状況などにより必要がある場合には、廃止または支給額を減額することがある。」旨を規定しておくことが必要です。
従業員に過度の期待感を与えず、「やむを得ない場合は従業員代表者と協議し、合理性の認められる範囲内で変更の可能性がある」ことを示唆しておくことも必要と考えられます。
5.原資の確保と外部積立制度の利用について
退職金は、会社にとっても大きな支出となることから、決められた時期に、決められた金額を退職者に支給できるよう、原資を確保しておくことが重要です。中小企業においては、社内で退職金用の資金を積み立てておくこと自体、困難な場合もありますので、社外積立型の退職金共済制度などを利用することも良いでしょう。なお、その場合は、退職金規程に「退職金共済契約の締結」や「掛金」等についても定めておいてください。
(ご参考)退職金支給の規程例
・適用範囲等の規定例
第○条(適用範囲)
この規程は正社員以外の社員(契約社員、アルバイト、パートタイマー、嘱託社員、その他特殊雇用形態者)に対しては適用しない。
第○条(受給要件)
勤続年数○年以上の従業員が、就業規則○条または○条の規定により退職し、または解雇されたときは、この規則の定めるところにより、退職金を支給する。
・退職金の減額・不支給等の規定例
第○条(退職金の減額・不支給等)
従業員が、次の各号の一に該当する場合は、退職金の一部を減額または支給しないことができる。なお、すでに退職金が支給されている場合には、その全額または一部の返還を求めることができる。
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懲戒解雇されたとき
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諭旨解雇されたとき
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禁固以上の刑に処せられ、解雇されたとき
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自己の重大な過失により解雇されたとき
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勤務に忠実でなく、または不正の行為により退職したとき
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在職中の行為に、懲戒解雇、または諭旨解雇に相当する行為が発見されたとき
(執筆・監修:特定社会保険労務士 岩野 麻子)
最終内容確認 2018年2月