課税事業者
基準期間における課税売上高が5,000万円以下
簡易課税制度を適用すると、
実際に仕入時に支払った消費税額の計算を不要とし、その営む業種に応じた一定率の仕入があったものとみなして、消費税の納付税額を計算することができるため、納税事務が軽減されます。
納付税額の計算方法
納付税額の計算方法は、
(1)1つの事業を営む場合
(2)2つ以上の事業を営む場合
で異なります。
(1)1つの事業を営む場合
簡易課税制度では課税事業を5種類に分類し、それぞれの事業では仕入などが売上の一定の割合を占めているとみなして納税額を計算します。具体的には、
という計算を行います。
みなし仕入率は次のように設定されています(事業区分は課税期間における売上高の内訳に基づいて行います)。
<みなし仕入率>
A.第一種事業(卸売業) 90%
B.第二種事業(小売業) 80%
C.第三種事業(農業、林業、漁業、建設業、製造業など) 70%
D.第四種事業(第一種、二種、三種、五種以外の事業) 60%
E.第五種事業(運輸・通信業、不動産業、サービス業など) 50%
A.第一種事業(卸売業)
第一種事業とは、他の者から購入した商品をその性質および形状を変更しない(軽微な加工含む)で、ほかの事業者に対して販売する事業を指します。
そのため、一般的な卸売業に加えて、不動産業者が購入不動産を他の不動産業者に販売する場合も第一種事業に該当します。
B.第二種事業(小売業)
第二種事業とは、ほかの者から購入した商品をその性質および形状を変更しないで販売する事業で、卸売業以外のものを指します。
一般的な小売業に加えて、不動産業者が購入不動産を他の不動産業者以外(つまり一般向け)に販売する場合もこれに該当します。
C.第三種事業
第三種事業とは、性質および形状を変更するなど製造にかかわる事業を指します。具体的には農業、林業、漁業、鉱業、建設業、製造業(製造小売業を含む)、電気業、ガス業、熱供給業および水道業などが含まれます。
D.第四種事業
第四種事業とは、第一~第三種、第五種事業以外の事業を指します。具体的には、製品等加工業、飲食店業、金融・保険業などが含まれます。
E.第五種事業
第五種事業には、運輸・通信業、不動産業、サービス業(飲食店業を除く)が含まれます。
(2)2つ以上の事業を営む場合
A.原則
2つ以上の事業を営む場合、課税売上高を区分している場合には、事業区分ごとに課税額を算出し、合算することが原則となっています。
B.1つの事業の課税売上高が全体の75%以上の場合
1つの事業の課税売上高が全体の75%以上の場合には、
-
主な事業のみなし仕入率の適用
-
事業区分ごとにみなし仕入率を算出し、その加重平均の適用(原則)
の2つの方法から有利な方を選択することができます。
C.1つの事業の課税売上高が全体の75%に満たない場合
1つの事業では課税売上高が75%に満たない場合でも、
2つの事業の課税売上高が全体の75%以上であれば、
-
主な2つの事業のうち、みなし仕入率が高い事業はその仕入率を適用し、残りの事業は、主な2つの事業のうちみなし仕入率が低い方の仕入率で計算する
-
原則を適用する
の2つの方法から有利な方を選択することができます。
D.課税売上高を区分していない場合
課税売上高を区分していない場合には次のようなみなし仕入率となります。
<課税売上高を区分していない場合のみなし仕入率>
A.第一種事業と第二種事業 80%
B.第一種事業または第二種事業と第三種事業 70%
C.第四種事業と第四種事業以外の事業 60%
D.第五種事業と第五種事業以外の事業 50%
いずれにしても、事業のうちでみなし仕入率が低い事業のみなし仕入率を全体に適用することになります。みなし仕入率が低いということは、売上高に占める仕入の割合が低くなり、控除できる消費税が少なく計算されることになるため税負担が増加します。
このようなことを避けるためには、課税売上高を事業ごとにきちんと区分しておくことが必要です。
原則課税との比較
簡易課税は、一度選択すると2年間(一定の場合には3年)は継続して適用しなければなりません。大規模な設備投資などを行った場合には、仕入などにかかる消費税額がみなし仕入率よりも大きくなり、原則課税のほうが有利になる場合もあります。大規模な設備投資などを予定している場合には、どちらが有利かを慎重に検討したうえで、簡易課税制度を適用するかどうかを選択してください。
(監修:税理士 渡辺 ゆかり)
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