起業マニュアル

外国人雇用の進め方

外国人労働者雇用の実態

国内の雇用市場において、業種・職種によっては人手不足に悩む企業も数多く見受けられます。そうした企業にとって、外国人労働者は重要な労働の担い手であり、またそのニーズも多様化しています。

日本企業が外国人労働者を求める場合は、単純労働が多いようですが、就労制限を受けない永住者などを除き、国籍に関わらず、外国人の単純労働者の受け入れは法律上認められていません。

しかしながら、単純労働に従事する外国人の労働力は「安く雇える調整労働力」の要素が強く、高い賃金を払えない企業や、日本人があまり好まない職種で人手不足に悩む企業では、利用しやすい労働力としてまだまだ欠かせない存在とされているのが実状です。

このような背景の中、単純労働に従事する外国人労働者には不法就労者が少なくありません。これらの不法就労者が、作業中の事故などで負傷しても、労災保険を申請することによって不法就労者の雇用が発覚することを恐れる事業主が申請をせず、また外国人労働者も、不法就労の発覚による強制送還を恐れ、事故によるケガの治療などを十分に受けられないまま泣き寝入りをしてしまうケースが多く見られます。

そこで、行政は、外国人労働者の人権をも脅かすトラブルや、外国人犯罪などの増加により、不法就労者の取り締まりの動きを強めています。平成16年12月に入管法の一部が改正され罰則が強化されました。主なものは以下の通りです。

  • 上陸拒否期間の延長
  • 退去強制歴がある者は10年、出国命令により出国した者は1年、日本への入国が禁じられる。
  • 不法入国の罪等に関する罰金額の上限引き上げ
    不法入国の罪等は罰金300万円、不法就労助長の罪は罰金300万円、無資格資格外活動の罪は罰金200万円が上限となる。
  • 在留資格にかかる活動内容を偽った場合の資格取り消し制度の新設
    在留資格については2章2項参照。

企業にコンプライアンスの遵守が求められる昨今、外国人の雇用に関しても、正しい法律知識をもつことが必要となっています。

外国人労働者雇用における留意点

外国人を雇用する経営者の中には、「外国人は安く雇用できる」と勘違いをしているケースがありますが、

外国人労働者を雇用する場合、最低賃金法など日本の労働関係法令は外国人にも適用されます。(その他労働基準法、労働安全衛生法、労働者災害補償保険、職業安定法など)

外国人の雇用も、基本的には日本人を雇用する場合と同様の義務と責任が生じます。外国人労働者だから、日本人労働者より軽視してよいというわけではありません。このような考え方がトラブルの最大の原因になるため、その認識は変えなければなりません。

しかし、実際の雇用現場においては、言葉やビジネス慣行が異なることからトラブルを起こしやすくなっているのも事実です。外国人を雇用する際は、入管法をよく理解したうえで合法的に外国人を採用し、雇用やビジネス慣行への配慮を怠らないことが重要です。

採用したい外国人像を明確にする

外国人を採用する際には、採用したい外国人像を明確にすることが重要です。なぜなら、雇用したい外国人によって、取得する「在留資格」と、それに伴う採用活動や入国手続き、雇用によって得られる効果が大きく異なるからです。

<外国人を雇用する際の検討事項>

(1)外国人を採用する目的は何か
(2)外国人に依頼する仕事、ポストは何か
(3)どのくらいの人数を、どのくらいの期間雇用するか
(4)どのような外国人を採用するか

  • 専門分野とその知識、技能、技術の幅と水準
  • 業務経歴、学歴、資格
  • 主たる使用言語、英語・日本語の能力 など

(5)労働条件、待遇、雇用形態はどうするか
(6)募集方法、採用選考基準はどうするか
(7)入管法上取得する在留資格の種類、入国審査手続きはどうするか
(8)必要経費はどのくらいか
(9)希望する人数、能力の者を確保できる見通しは十分あるか
(10)雇用することによって、具体的にどのような効果が、どの程度あるか
(11)どのようなトラブルなどが発生する恐れがあるか、対応策は何か

入管法をよく理解したうえで、雇用可能な外国人を採用する

外国人の日本での滞在や活動は、入管法によって規制されています。現行の入管法では在留資格制度を採用しているため、外国人雇用を考える企業は、就労可能ないずれかの在留資格に該当する外国人を、その在留資格で定められた活動範囲内の業務に、定められた期間内で、雇用することになります。

在留資格には27種類ありますが、資格の範囲内で就労が可能なものは以下の通りです。

外国人の在留資格と就業可能な職業の例を記載した表
※入管法の改正により平成22年7月より新たに加えられました。

*就労制限がない在留資格には、
「永住者」、「日本人の配偶者等」、「永住者の配偶者等」、「定住者」があります。
*就労が不可能な在留資格としては、
「文化活動」、「短期滞在」、「留学」、「研修」、「家族滞在」があります。

就労について「制限なし」の者以外で、一般の事業所による雇用が多いと考えられるのは、「技術」、「人文知識・国際業務」、「企業内転勤」です。これらの在留資格をもって入国し、一般の事業所に就職する者の在留期間は3年または1年です。在留期間は更新すれば、当初の在留期間満了後も引き続き在留することが可能です。

「留学」の在留資格の場合、「資格外活動」という入管法に基づく手続きを行い、かつ労働時間や従事してよい職種などにおいて一定の条件内であれば雇用が可能です。

「研修」の在留資格の場合は、日本で就労することができません。研修として認められる活動は、公的な研修および実務作業を含まない研修です。

◆公的な研修に該当する研修

  • 国、地方公共団体の機関または独立行政法人が自ら受入れ機関となる研修
  • 国、地方公共団体、日本の法律により直接設立された法人等の資金により主として運営される研修
  • 国際機関の事業として行われる研修
  • 独立行政法人国際協力機構(JICA)等の事業として行われる研修
  • 外国の国または地方公共団体等の職員を受け入れて行われる研修
  • 外国の国または地方公共団体に指名された者が、日本国の援助および指導を受けて行われる研修で、本国において技能等を広く普及する業務に従事している場合

こうしたことから、純粋に労働力が必要な場合は、就労制限がない「定住者」の在留資格所有者(主に日系人)などの雇用を考えることが多いようです。
これらの在留資格や在留期限については、

  • パスポートの「上陸許可」、「在留資格変更許可」、「在留期間更新許可」などの証印
  • 就労資格証明書
  • 資格外活動許可書
  • 外国人登録証明書

などにより確認できます。
詳細は、最寄りの地方入国管理局で確認することができます。

雇用の考え方

雇用の手順

(1)雇用しようと考えている外国人がいる場合

*事前に日本で「在留資格認定証明書」を取得し、本人に送付することにより、在外公館での手続期間を短くすることが可能です。

(2)外国人を雇用したいが、どうしたらよいか分からない場合
次の機関では外国人労働者の求人案内や雇用相談に応じています。外国人労働者を雇うにはどうしたらよいか見当がつかない場合は、まず、最寄りの相談機関に問い合わせてみるとよいでしょう。

ハローワーク(公共職業安定所)

各地域のハローワークでは、入管法において国内で就労が認められている外国人に対し、その在留資格に応じた 職業紹介を行っています。また、全国の主要なハローワークに外国人雇用サービスコーナーを設け、日系人をはじめとする外国人求職者のために通訳を配置しています。

外国人雇用サービスセンター

日本企業などへの就職を希望する留学生や、専門・技術分野での就職を希望する外国人の職業紹介をしています。

■東京外国人雇用サービスセンター

所在地

東京都新宿区西新宿2-7-1 小田急第一生命ビル21階

TEL

03-5339-8625

URL

■大阪外国人雇用サービスセンター

所在地

大阪府大阪市北区角田町8-47 阪急グランドビル16階

TEL

06-7709-9465

URL

■名古屋外国人雇用サービスセンター

所在地

名古屋市中区栄4-1-1 中日ビル12階

TEL

052-264-1901

URL

民間の仲介業者

民間の有料職業紹介事業所による外国人労働者の斡旋を受けることもできます。ただし、民間の紹介業者の中には不法に仲介を行っているところもあり、さまざまなトラブルが発生しているため、厚生労働大臣の許可を受けているかどうかを確認することが重要です。なお、港湾運送業務、建設業務の現場作業業務の職業紹介はできません。

このほか、派遣労働者として外国人を受け入れることもできます。この場合にも、派遣元事業主が厚生労働大臣の許認可を受けているか確認することが必要です。なお、港湾運送業務、建設業務、警備業務、医療関係業務(紹介予定派遣などを除く)については、基本的に労働者派遣はできません。

雇用慣行やビジネス慣行への配慮

日本企業と外国企業では慣行にさまざまな相違があります。社会保険の適用と保険料の徴収、税金の源泉徴収など金銭に関わることについては、事前に必ず説明することが必要です。これを怠ると意思疎通の困難さとあいまって、外国人労働者を雇用する際のトラブルの原因となります。

たとえば、外国人労働者は日本人と比べて、

  • 離転職に対する抵抗が少ない
  • 本人の職務内容を明確にすることを求める
  • 職務の成果に応じた職務給、職階給や能力給のシステムを求める
  • 本人の責任範囲を明確にすることを求める

といったことがあげられます。

外国人雇用の際にはこのような点に留意し、譲れない部分については、十分な説明を行い、互いに納得できるよう努める必要があります。

また、厚生労働省では、外国人労働者の雇用・労働条件に関する指針を定め、労働条件について書面で交付するなど、適正な雇用管理を啓発指導しています。
「労働条件通知書」のひな形は、次のウェブサイトからダウンロードできます。

■東京外国人雇用サービスセンター/労働条件通知書

(英語・中国語・ポルトガル語・スペイン語)

URL

■厚生労働省/外国人労働者向けモデル労働条件通知書

(英語・中国語・韓国語・ポルトガル語・スペイン語・タガログ語・インドネシア語 ・ベトナム語)

URL

外国人雇用状況の届出

平成19年10月から、外国人労働者(*)の雇入れ・離職の際に、その外国人労働者の氏名、性別、国籍、在留資格、在留期間などを厚生労働大臣(ハローワーク)へ届け出ることが義務付けられています。なお、未届出、虚偽の届出を行った場合には、30万円以下の罰金の対象となります。

  • 正社員はもちろんアルバイトの場合もこの対象となりますが、特別永住者および在留資格「外交」・「公用」の者は除きます。

技能実習制度の活用

合法的に外国人を受け入れる制度として技能実習制度があります。この制度は、研修制度と同様に開発途上国の人材育成への協力を目的とした日本の制度で、外国人はこの制度を利用することで、雇用関係の下で日本の技能等を習得し、これにより出身国に技能等の移転を図ることができます。一方、企業においても、人員計画を立てやすいなどのメリットがあるため、多くの企業で利用されています。期間は最長で3年間となっています。なお、これまで入国から1年間は在留資格「研修」として雇用契約のない研修の中で実務的な作業が行われていましたが、入管法の改正で平成22年7月より、実務作業を行う場合は、原則として、在留資格「技能実習」として雇用契約の下で技能等を習得することが義務づけられました。

ここでは、外国人技能実習生を紹介している団体を紹介します。

公益財団法人 国際人材育成機構

財団法人中小企業国際人材育成事業団(アイム・ジャパン)では、日本政府が創設した「技能実習制度」に基づき、インドネシア・タイ・ベトナム政府が選抜し、派遣する数多くの有能な人材を日本に受け入れています。

同事業団の技能実習生は、インドネシア・タイ・ベトナム政府によって厳正に選抜された20歳代の若者で、4カ月にわたる訓練を受けてから日本企業に配属されます。

アイム・ジャパンが取扱う職種は、機械・金属関係(鋳造、鍛造、機械加工、金属プレス加工、鉄工、工場板金等)、建設関係(建築大工、配管、型枠施工、鉄筋施工、コンクリート圧送施工等)、繊維関係(染色、ニット製品製造、紳士服製造、婦人子供服製造等)など広範囲にわたっています。外国人技能実習生の滞在は、技能実習期間3年です。同事業団による技能実習生を受け入れるメリットには、次のようなものがあります。

  • 合法的に外国人を受け入れることができる
  • 3年間の在留期間があるため、人員計画が立てやすい
  • 賞与や退職金が不要であるため、日本人と比べると安価である
  • 意欲が高く、規律正しい若い技能実習生であるため、日本人社員にも好影響を与え、社内が活性化し、生産性向上が期待できる
  • 母国の研修でさまざまな勉強をしてから来日するため、日本語をある程度理解できる
  • 技能実習生が企業へ配属された後も、同事業団職員による定期的な企業訪問などフォロー体制が整っている
  • 受け入れ企業が海外へ進出する際、技能実習生が現地スタッフとの橋渡しなどキーマンとしての活躍が期待できる
  • 技能をつけた技能実習生が母国へ帰国することにより、同国の経済発展に寄与するなど、間接的に国際貢献ができる

技能実習生を受け入れる企業の負担は以下のとおりです。

アイム・ジャパンから技能実習生を受け入れた企業が負担する金額の表
*上記の他、1年2カ月目からは、技能実習生に直接賃金の支払いが必要です。

■お問い合わせ先

公益財団法人 国際人材育成機構 アイム・ジャパン本部

所在地

東京都江東区新大橋1-8-11 三井生命新大橋ビル

TEL

03-5600-5621

URL
  • 埼玉、長野、静岡、愛知、大阪、福岡、広島に支局、ジャカルタ(インドネシア)、バンコク(タイ)、ハノイ(ベトナム)に駐在員事務所がある

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最終内容確認 2018年2月

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