賃金規程作成のポイント
1.賃金の種類、および賃金体系を明確にする
賃金は通常、毎月決まって支給される月例給与と、特別に支給される賞与や一時金、退職金とに分かれます。一般的に、月例給与のうち、所定労働時間内の労働に対して支給されるものを基準内賃金、残業や休日出勤などの所定外労働に対して支給されるものを基準外賃金と呼びます。
規程には、これら賃金の体系をまとめた図や表を記載しておくと良いでしょう。
(賃金体系の記載例)
2.基本給の決定と諸手当について
基本給とは、諸手当を除いた賃金の基本となる金額をいい、月給や日給月給、日給、時間給などがあります。基本給は通常、職務の重要度、困難度や責任の度合いといった職務内容や、年齢、勤続年数や勤務態度など属人的なもの、そして経験や能力といった職務遂行能力などを総合的に勘案し決定されます。
なお、賃金規程では、基本給について具体的な金額を明示しなくても構いません。ただし、都道府県ごとに最低賃金時間額が定められており、原則としてこの額を下回る基本給を定めた労働契約を締結した場合には最低賃金法違反となりますので、ご注意ください。また、月給、日給制等の場合は、月や日の所定労働時間で割った額が最低賃金を下回っていないか確認してみましょう。
地域別最低賃金は、厚生労働省のホームページで確認することができます。
一方、交通費を含む諸手当や、賞与の支払については、法律上の規定はなく、支給の有無や金額等については、経営者の裁量に任されています。ただし、賃金規程でいったん支給すると規定した場合は、支給が義務付けられることになりますので、上限額や支給対象者なども詳しく定めておきましょう。
3.割増賃金とは
労働基準法では、休憩時間を除いて1日8時間、1週40時間を法定労働時間として定めています(労働基準法 第32条)。そのため、上記の法定労働時間を超えて勤務させる場合には、通常の賃金に加えて、時間外割増賃金の支払いが義務付けられています。
割増賃金は、その種類ごとに以下のような割増賃金率が定められていますが、賃金規程で、法定の割増率を超える規定を定めることも可能です。
(※1)中小企業とは、資本金の額または出資の総額が小売業・サービス業で5,000万円以下、卸売業で1億円以下、その他の業種で3億円以下、または、常時使用する労働者数が小売業で50人以下、サービス業、卸売業で100人以下、その他の業種で300人以下である企業を指します。
(※2)法定休日とは、労働基準法 第35条に定める毎週1日、または4週間を通じ4日以上与えられる休日のことです。仮に、週休二日制の会社が、就業規則で日曜日を法定休日と定めた場合、土曜日は法定休日以外の休日「法定外休日」となります。法定外休日は、休日労働ではなく時間外労働割増賃金の支給で足りる、とされています。
時間外労働が深夜に及んだ場合は【2割5分+2割5分=5割(50%)】、休日労働が深夜に及んだ場合は【3割5分+2割5分=6割(60%)】の割増率となります。なお、休日にはそもそも「時間外」の概念がないため、休日労働と時間外労働の割増賃金が併給されることはありません。
※円未満の端数が生じた場合は、通常、50銭未満の端数は切り捨て、50銭以上1円未満の端数は1円に切り上げて処理します。端数処理についても、賃金規程で定めておくことが望ましいとされています。
在職中は被雇用者という立場から、会社に対し賃金に関する質問を切り出せない従業員もいます。近年では、退職時に過去2年分の未払い残業代を請求されたというケースもありますので、残業時間の把握が曖昧になっている場合には、注意が必要です。
また、適正な労務管理や従業員の健康管理のためにも、効率的に業務が遂行されているか、不必要な残業が行われていないか、この機会に確認してみてはいかがでしょうか。