業種別開業ガイド
カプセルホテル
- カプセルホテルとは、カプセル状の個室を寝室として提供する簡易ホテルである。従来は、学生やサラリーマンが主な利用者であったが、最近は、女性専用のカプセルホテルも登場したことも背景にあり、女性の利用客も増えてきている。また、日本の世界遺産の登録が進んでいることや、東京五輪開催があることなどから、今後、外国人観光客の利用機会の増加も予想される。
- 市場規模
2017年1月にWizBiz株式会社が実施した調査によると、カプセルホテルの利用率は、総人口対比で約3.6%(約456万人に相当)であり、平均的な利用者は、年に6.4回程度利用し、1回の利用に4,082円程度を使っている。このことから、現在の市場規模は、1,200億円前後であろうと考えられる。
また、同調査において、今後「ぜひ利用したい」「どちらかといえば利用したい」と回答した人の割合は、総人口対比で約8.7%(約1,109万人に相当)であった。このことから、潜在的な需要までをも合わせると、市場規模は、約2,900億円程度にまで拡大する可能性を秘めている。
1.起業にあたって必要な手続き
カプセルホテルを開業する場合、営業する地域を管轄する保健所長から、簡易宿所としての営業許可を受けなければならない。また、施設や設備が、消防法、建築基準法の基準を満たしていなければならない。教育施設や児童福祉施設が近くにあると、許可が得られない場合もあるので、立地を選定する段階において、管轄の都道府県の担当窓口に確認をしておく必要がある。
2.起業にあたっての留意点・準備
立地は、ビジネス街や繁華街に近い場所、または、空港やターミナル駅から徒歩圏内の場所がよい。価格帯は、通常のビジネスホテルよりも安価に設定されるため、近隣のホテル料金の相場が低い場所では、採算が取りにくく、出店は難しいだろう。
カプセルホテルと競合する業種としては、ビジネスホテル、ネットカフェ、マンガ喫茶などが考えられるが、ビジネスホテルに対しては料金の安さ、ネットカフェ、マンガ喫茶に対しては宿泊施設としての利用設備の充実さを強みに差別化をはかることができる。 利用客は、ビジネスマンや就職活動中の学生などが多い。従来、男性の利用が多い業界であったが、女性の利用意向も高く、最近では、女性専用のフロアを設けた施設も増えてきた。
設備としては、2段ベッド型のキャビン個室、ロッカールーム、大浴場、シャワールーム、サウナが完備されているのが一般的である。ほか、規模が中規模以上になると、リラックスできるロビー、洗濯機・乾燥機のあるランドリールームなども完備される。大規模施設になると、他に、マッサージルーム、エステルーム、喫茶室などが併設されているところもある。
キャビン型個室内には、デジタルアラーム時計、空調設備は通常完備され、ほか、テレビやラジオ機器が装備されているところもある。
チェックインは15時~17時以降、チェックアウトは翌朝10時~11時に設定しているところが多い。ベッド数は、少ないところで20台程度、大規模施設になると600台以上のところもある。
カプセルホテルは、装置型産業であるため、集客力を強め、客室の稼働率を高めることが重要である。そのため、ホームページ開設、ホテル・旅館の宿泊予約サイトへの登録は必須であると言える。また、日々の清掃を徹底し清潔感を保つことを心がけると同時に、利用者のマナーの向上に向けた啓蒙活動を行い、利用者が皆、快適に泊まれる環境を提供する努力も必要である。
3. 必要資金例
以下は、自社保有のビルにて、ベッド数40台、シャワールーム4室のカプセルホテルを開業する場合の必要資金例である。
4. ビジネスプラン策定例(モデル収支例)
以下は、上記の条件下におけるモデル収支例である。
1)売上計画例
2)損益計算のシミュレーション
- ※初期投資一括計上分は、開業費の金額
- ※減価償却費は、設備工事費・什器備品費の額を5年で償却したもの
- ※必要資金、売上計画、シミュレーションの数値は、状況によって異なります。
また、売上や利益を保証するものではないことをあらかじめご了承ください。
(本シリーズのレポートは作成時時点における情報を元に作成した一般的な内容のものであるため、開業を検討される際には別途、専門家にも相談されることをお勧めします。)
最終内容確認日2017年2月