業種別開業ガイド

ペンション

  • 長引く不況や海外旅行客の増加、ホテルや旅館の低料金化などの影響を受け、ここ数年ペンション数は減少が続いており、競合が激化するなかで平均客室単価も低下している。
  • しかし、個性や特徴をアピールすることにより他の施設との差別化を図ることで顧客に支持されているペンションも少なくない。
    そうしたペンションは、リピート利用や口コミによって宿泊客を拡大することに成功している。

1.開設にあたって必要な手続き

「ペンション」という名称は通称であり、法的には宿泊施設であるところから、「旅館業法」に基づき都道府県知事の許可が必要である(問い合わせ先は開設地域の保健所)。また、施設の構造設備の基準については、旅館業法施行令で定められている。
<必要書類>

  • 旅館業営業許可申請書
  • 営業施設の構造設備を明らかにする図面 など

なお、各都道府県の条例によって建築基準法、消防法、風俗営業の規制および業務の適正化等に関する法律、食品衛生法などの基準が定められているため、施設を開設する前に、開設地域の保健所によく確認する必要がある。

2.起業にあたっての留意点・準備

1)立地条件

ペンションに適しているのは、高原や海など、自然環境に恵まれた立地で、しかも都市部からの交通アクセスがよいところである。
さらに、近隣にスキー場、テニスコートといったレジャー施設や、サイクリングコースやハイキングコースなどがあることが望ましい。

2)営業上の留意点

オープン後1、2年は、加盟するペンション団体や提携している旅行会社を通じて送客してもらうのが一般的である。
その後は、「リピート客」「口コミの紹介客」「雑誌などを見ての申込客」を増やしていく。
なお、雑誌などを見ての申込客を増やすためには、下記のような工夫が必要になる。

  • 雑誌などのパブリシティ...女性向け雑誌、レジャーの専門誌、ペンションの専門誌などの編集部に働きかけ、記事として紹介してもらう。
  • ガイドブックへの掲載...ペンションを紹介するガイドブックなどに広告費を払い掲載してもらう。

このほか、インターネットを活用して、ホームページを開設したり、宿泊予約の代行サイトを利用することも積極的に検討したい。

3)魅力づくり

自分のペンションを強くアピールするには、何らかの特徴や魅力が必要である。たとえば、以下のような事例が見られる。

  • その地域の自然環境を活かした施設・サービス・料理などを提供する。
  • オーナーの趣味などを活かして、陶芸教室やガーデニング教室、パンづくり教室などを開催する。
  • ペットと一緒に宿泊できる部屋を設ける。
  • 各部屋にバス・トイレを備え、施設の名称も「プチホテル」とし、従来のペンションのイメージとは少々異なる高級感を訴求する。

4)必要資金例

立地や規模、あるいは設備や備品などによって必要資金は大きく異なるが、たとえば10室、定員24~25名の場合、標準的な物件で約8000万~9000万円程度は必要になるといわれている。このように多額の初期投資が必要であり、一方、収益性はそれほど高くないため、事前に収支計画を慎重に検討してみる必要がある。とくに平日と週末、あるいはオンシーズンとオフシーズンの繁閑の差が大きいことに注意する。

最終内容確認日2014年2月