景気や外食産業の動向に左右されやすく、安定受注の難しさがある
個人で開業する場合は、職人と経営者を兼務する必要がある
開業のステップ
前述のとおり、食品サンプル製造の経営形態は、企業もしくは個人の2つに大別される。ここでは、個人事業主としての開業ステップの例を紹介する。
食品サンプル製造に役立つ資格や許可
食品サンプル製造を営む際に、国家資格や特別な免許は不要である。ただし、技術の高さを証明する資格や、開業時に役立つ資格はある。
例えば、「日本食品サンプル普及協会」や「日本食品サンプルアート協会」など業界団体による認定資格は、技術水準の証明として業界内での評価が高い。また「色彩検定」は、食品サンプルの製作時にリアルさを支える色彩表現に役立つ。さらに、訪日外国人向けに体験教室を運営する場合は、「観光英語検定」などで語学を習得しておくと強みになる。
その他の留意点として、独立・開業した場合はブランド名やデザインを守るため、必要に応じて商標登録を検討すると良い。また、体験教室を運営する場合には、来店客が体験中にけがをするリスクに備え、事業者賠償責任保険への加入も検討したい。
開業資金と運転資金の例
食品サンプル製造を開業する場合、かかる費用は事業の規模や形態によって大きく異なる。ここではスタッフは雇用せず、小規模工房兼実店舗(製作体験+小物販売)を開くケースを想定し、開業資金と運転資金の例を示す(参考)。
日本政策金融公庫では、創業を支援する「新規開業・スタートアップ支援資金」の貸付制度を用意している。新たに事業を始める人を対象に、通常より優遇された貸付条件が設定されているため、確認してみると良いだろう。また、小規模事業者を対象とした商工会議所の「小規模事業者持続化補助金」や、商工組合中央金庫など金融機関からの融資も利用可能だ。さらに、会計システムや受発注管理システム、POSシステムなどの導入に際しては「IT導入補助金」も活用できる。最新の情報や詳細な申請要件については、必ず各制度の公式WEBサイトを確認してほしい。
売上計画と損益イメージ
最後に、食品サンプル製造を開業した場合の1か月の収支をシミュレーションしてみよう。
まず、売上イメージを以下のように設定する(例)。
売上見込みから支出見込み(前項、運転資金例)を引いた損益イメージは次のようになる。
独立・開業には、資金計画や販路開拓といった経営面の準備が不可欠だ。また、SNSで他にはないオリジナルな世界観を発信し、新規顧客を開拓していきたい。海外需要も拡大しているため、多言語対応のオンラインショップや予約システムを整備すれば、集客力がさらに高まるだろう。
※開業資金、売上計画、損益イメージなどの数値は、開業状況等により異なります。
(本シリーズのレポートは作成時点における情報を元にした一般的な内容のものであるため、開業を検討される際には別途、専門家にも相談されることをお勧めします。)