「人の健康」については、社員が健康でやりがいを持っていきいきと働ける環境づくりを進めている。現場での業務が多い同社ではかつて社員の長時間労働が続いていた。「社内で働き方改革を進めないといけない、という危機感を前々から抱いていた」と荒木和(むつみ)取締役総務部長は話す。そして、2020年4月に時間外労働の上限規制が中小企業にも導入されたのを機に、就業規則を変更し、柔軟な働き方を目指した。たとえばスマートムーブ(直行・直帰制度)の導入。現場で作業を行う際、従来はいったん出社してから現場に向かい、終了後にも帰社することになっていた。スマートムーブでは、スマートフォンで出退時刻を打刻。GPSの位置情報と同時に勤務時間を記録するため、直行・直帰が可能となり、労働時間の削減と社員の負担軽減につながっている。
また、自己啓発支援制度を始めた。同社の業務には資格保有者にしか遂行できないものが多い。そのため、以前から会社が費用を負担するなどして資格取得を奨励していた。新設された自己啓発支援制度では、ノー残業デーの水曜日に社内で1時間以上自習すると1回につき2000円の手当を支給する。発案者の荒木氏は、次男が図書館やカフェなど勉強する仲間がいる場所で学習している様子を見て「定期的に学習する時間、仲間をつくり、学習に集中できる環境を作ればいいのでは?」として思いついた。手当の支給については「学習する習慣をつけてもらうためのインセンティブ。自習に手当を出しても、試験に一発で合格してもらえれば経費面では大いに助かる」(荒木氏)という。結果も出ている。導入前には年間の資格試験受験者は延べで20人程度、合格率は4割を切っていたが、導入後は100人を超え、合格率も5割強にアップした。
SDGs宣言後、同社に対する注目度は一段と高まった。富山県はSDGsの代表的な事例として紹介。また東出氏は、富山県中小企業家同友会など地元経営者の会合で自社の活動内容を報告している。