建設機械や工作機械、農機、鉄道車両などさまざまな機械に使われるシャフトをアプセット鍛造という工法で製造している。シャフトというと、まっすぐな棒を思い浮かべるが、当社が得意とするのはシャフトの先端もしくは中間にツバ(フランジ)がついたシャフトだ。まっすぐな棒状のシャフトを1100~1200度の高温に加熱し、1000トン以上の大きな力をかけて成形している。
創業は1929年(昭和4年)で、祖父が鍬(くわ)や鋤(すき)などの道具をつくる鍛冶屋の仕事を始めた年にあたる。現在、会社がある滋賀県多賀町は彦根市の東隣りにある。彦根は戦前から水道などに使われるバルブが地場産業で、全国唯一のバルブ製造の集積地だった。バルブには開閉の際の軸となる弁棒というものがついていて、ツバつきのシャフトが使われている。
戦後間もないころだが、当時は、ツバつきのシャフトは太い棒から削り出して製造されていた。そこで地元のバルブメーカーから「これを鍛造で安く作れないか」と祖父に依頼があり、鍛造で弁棒を作ったのが今につながっている。
会社の設立は1956年。それから30年はほぼバルブの弁棒だけをやっていた。日本の高度成長期は相当な需要があり、羽振りもよかったそうだ。私は学校を出てすぐ大手自動車メーカーのグループ会社に就職し、その後、1989年に実家に戻った。しかし当時、経営は厳しい状況にあり、バルブ以外の販路開拓に取り組んだ。最初はうまくいかなかったが、30年かけて徐々に取引先を広げ、今ではバルブ以外の分野の受注が80%を超えている。
私は2002年、二代目の父が60歳になったのを機に39歳で社長になった。その翌年には10歳離れた弟の俊介氏に会社に加わってもらい、以降、兄弟力を合わせて経営に当たってきた。2021年から弟が社長になり、会長として経営をサポートしている。