PTが導き出した同社のあるべき姿を「お客様に対して持続可能で豊かな社会を実現させる物流サービスの提供」とし、その実現のために「収益力の強化」「高付加価値サービスの提供」「経営基盤の強化」を進めることを掲げた。そして推進のための戦略として基幹システムの刷新や新倉庫の建設、ペーパーレス化などの具体策を提示した。ここで初めてデジタルの導入の必要性を指摘した。変革を実現させるためのツールとしてデジタルを採用するという考え方だ。この段階のみITに強いコンサルタントを入れ、新システム構築のRFP(提案依頼書)作成や検討やITベンダーの選定作業に取り組んだ。複数の事業者から提案を受け、発注先を決め、新システムの開発・導入を実現させた。社長がPTに最初の指示を出してから、実に3年半の年月がかかった。PTの中核メンバーだった伊藤浩嗣取締役営業デジタル推進本部長は「会社もよく辛抱して待ってくれたと思う。おかげで自分たちで1から考えて作り上げることができた。もし1年でやれと言われたら失敗していたでしょう」と振り返る。
新システムの稼働により、顧客とのやりとりはFAXからWEB-EDI(電子データ交換)や電子メールによる受注へと移行した。それまでFAXで届いた出荷指示書を入力する作業に人手をかけていたが、その人員が不要になった。また、保管する荷物はバーコードで管理し、倉庫内の無線LANを介して、管理状況をリアルタイムで把握できるようにした。顧客は同社に電話で自社の荷物の状況を問い合わせていたが、新システムへの移行後は顧客のパソコンから自分の荷物がどこにあり、いつ出荷されたのかを確認できるようになった。顧客の満足度が上がり、同社の生産性も大幅に改善した。さらに集められたデータをBI(データ分析)ツールで解析することで、顧客に新たな提案をすることも可能になり、売り上げ向上に貢献するようになった。事務業務にはRPA(定型作業の自動化)を導入し、効率化をさらに進めた。